食人鬼 完結日:2011年6月13日 作者:小岩井豊 評価:★★★★☆ 4.2草食性でも、肉食性でも、雑食性でもない。人肉食だなんて、それこそ鬼のような食性じゃないか。――羨望と失望が交錯した結果、少女の中に禁断が芽生える。友人の腕を持ち去ってしまったその日、少女は二人の高校生と出会った。 話数:全15話 ジャンル:ミステリー 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 中学生 時代:現代 舞台:未登録 雰囲気:ダーク 展開:未登録 その他要素 カニバリズム 学園 殺人 食人 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
カニバリズム。 いわゆる人肉嗜食というもの――有名なところで言えば『レッド・ドラゴン』等に登場するハンニバル・レクター博士などがあげられるだろう。 この『食人鬼』は、一部を除き犯人側である小夜の一人称で綴られている。つまり彼女の日常から始まり、失望、殺人、さらに人食。それらに伴う心理描写が全てなされているのだ。 文章はプロの様に丁寧で、自然で読みやすい。が、そうであるが故に抉り出される狂気の描写に戦慄を禁じ得ない。特に八・九話のあたりは読んでいて鳥肌が立った。 もう一つ魅力的なのが、吉村君と咲子さんだ。彼らのキャラクタや関係性にも心惹かれる物がある。『食人鬼』は小夜の視点で描かれているが、より正確に言うならば、小夜を狂言回しとして配置した、二人が主人公のサスペンス小説といえるかもしれない。 兎にも角にも非常に素晴らしい小説なので、是非一度読んでもらいたい。