評価:★★★★☆ 4.3
『闇夜の海には、明かりが灯るよ。愛しい人を捜す、明かりが灯る』
淘汰の住む町にはそんな昔話があった。
淘汰は向かう。
闇夜の海に、あかりを灯すために。
幼い日に交わした、何気ない約束を果たすために。
それは大切な友達を救う、ただ一筋の希望。淘汰は闇夜に沈んだ海を見つめた。何も見えない暗闇がどこまでも続く。
脳裏にあの時のことが鮮明に思い出された。
親友は、この波音と共に、この暗闇の向こうに消えてしまった。この暗闇の向こうに巽はいる。
淘汰は見えないその闇の向こうを見つめる。
「絶対に灯してみせる!」
そう叫んだ、幼かった自分のあの日の誓い。
それを、果たすために。
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:切ない
展開:未登録
注意:全年齢対象
優しい大人たち。優しい友人。優しい主人公。悲しさと優しさが入り混じる少年から青年への成長の時を、丁寧に表現されていて引き込まれました。このお話は泣けるけれど、泣くという行為が悲しいだけのものじゃないのだと気付かせてくれます。もっと沢山の人に読んで欲しいと、思わずレビューを書いてしまいました。とっても素敵なお話です。