評価:★★★★☆ 4
(あらすじ) 一九九五年に西暦時代が終了後。再生暦という新時代がはじまった。その土地には巨大企業。神童産業があった。彼らは神童(しんどう)と呼ばれる超能力者を利用して社会を支配していた。
神崎月矢(かんざきつきや)は十八歳の少年だった。
月矢は神童産業で陰陽線(いんようせん)という人体強化パーツをうめこむ手術を受ける。月矢は人間をこえる速さで銃を撃ち、敵の弾をかわす能力を持つ、超人的なガンマンとなった。月矢はある旅人の手帳を手に入れたことで今の街を捨てて、ユートピアを探す決意をする。
月矢の街ではバスによって街から街をめぐる組織。夢想鉄道(むそうてつどう)が、トラベラーを募集していた。
月矢は愛銃コルト・ライトニングを手に夢想鉄道に入る。
月矢のパートナーになったのは十七歳の少女。無傷儚(むきずはかな)。無傷は顔に大きな刀傷をもつ美少女とはいえない少女で、過去を語らない正体不明の人物だった。
旅の途中。立ち寄った街で月矢は運命調き律師(うんめいちょうりつし)と名乗る謎の男と出会う。
「人生もサイコロみたいに、運で決定される部分があると思わないか?
確率や偶然で決まってしまうような、人の力ではどうにもならない何かが、あると思わないか?」
男は予言じみた警告を月矢にした。警告は無傷の秘められた過去と、月矢に定められた宿命的な戦いを暗示していた。
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
さえない自分の人生を変えたくて、人体にある機能を埋め込んだ少年と、重い過去と顔に醜い傷を負った少女が偶然乗り合わせた夢想鉄道。そんなふたりを導くのは、凄腕の女運転手と、何やら秘密を抱えた青年ガイド。そんな彼らの旅路に、現れる敵と、徐々に浮き彫りにされていくそれぞれの過去。近未来バトルストーリーですが、運命という大きなテーマを持った、考えさせられる作品です。
なかなか面白い作品でした。独特のダークな世界観や厨二病気味の主人公の心の動揺や成長を丁寧に描いている良作だと思います。独自のキャラクターセンスは光るものがあり、ヒロインに美少女を持ってこなかったあたりや、主人公が旅を始める理由なども、個人的には好きです。あと登場人物を少年だけにせず、しっかり大人を登場させているところもよかったですね。ただバトルシーンでの軸となる設定をうまく生かしきれていないように思いました。ロードムービー足すバトル小説足すボーイミーツガールなんで、ライトノベル的にも読めるし、若干年齢層高め(夢枕獏系など)とも読める作品だと思いました。