評価:★★★★☆ 4.2
平凡な高校生・小鳥遊悠一は、ある日が何度も繰り返していることに気が付く。
起きれば雨、家族との会話、遅れる電車、定期テストと、親友の失恋――
その日をパーフェクトに過ごせば明るい明日が来るのだと信じ、
必死にその日のあらゆる課題をクリアする悠一だが、
それでも非情に一日は繰り返す。
そのうちに悠一と同じく一日を繰り返す『リピーター』と呼ばれる人々が接触してくる。
胡散臭く感じながらも、どこか魅力を感じる悠一。
しかし、親友の入江は『信用しない方がいい』と言い出して――。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
“『性悪説』を簡単にいえば、””人間は弱い存在であり、努力によって立派な人間になれる””という意味ですね。繰り返される1日により薄れていく日常。変化のない無限の退屈は、人を狂わせるのに十分だと思いませんか?この物語でのループは能力ではなく現象です。記憶を持ち越すことのできる登場人物たちは、それに巻き込まれた被害者だといえます。どう生きていくのかは人それぞれ。明日を迎えるために努力する者無為に時を浪費する者そして、衝動を解き放って罪を犯す者主人公は知る事を選びます。きっかけは1つの事件の変化に気づいたことから。そこから同じ境遇の者に出会い、連れられ、教えられ、惑わされ……【””壊れた世界””で繰り広げられる濃厚なヒューマンドラマ】全ての配役に意味があり、全ての謎に理由がある。世界の隠されたルールは、主人公にも深く関係していて――”
最近では適当なてんぷれを詰め合わせただけの作品が出回っているなろうだが、この物語はそういったものとは格が違うと思う。薄っぺらい登場人物は一人もいない。皆辛い現実のなかで精一杯足掻いて、もがいている。何度も繰り返す一日、忘れてしまった過去、隠された真実。すべてが繋がったときの緊張感は、言葉では表せない凄みを与えてくれた。ただのてんぷれ作品に飽きたひとこそ、今これを読むべきだと思う。
SFものなのかミステリーものなのか、サスペンスものなのか分類に悩みますが、そこらへんのジャンルが好きな方に超オススメ!間違いなく傑作です。謎めいた始まり、やや不幸ながらも平穏な日常、そしてリプレイの始まり…そこから怒涛の終盤まで、魅力的な謎と巧みな伏線で読むのがやめられません。タイトル通り終盤の盛り上がりは鳥肌がたちます!非現実的でSF的な世界観なので、作者の筆力がなければ、読者が途中で冷めてしまうところですが、魅力的、個性的な登場人物と、巧みなセリフ回し(くどいけど)と広げに広げた大風呂敷に私の心は鷲掴みにされました。正直私にとってはケン・グリムウッドの元祖リプレイ以上に魅力的な作品でした。完結してから大分たちますが、もっと多くの人に知られてもいいリプレイものの傑作だと思います。