評価:★★★★☆ 4.3
2011年4月、東京の朝之木高校に一人の高校生が入学する。彼……十影潔は数年前に叔父を殺人事件で失っており、その際のメディアによる大バッシングで東京を離れざるを得なくなったという過去を持っていた。そんな十影は、あるきっかけから「殺人マニア」の異名を持つ推理オタクのクラスメイト・金津麟五と知り合いになる。彼女は部員ゼロで廃部寸前のミステリー研究会の部室に一人で居座っており、十影も何となく彼女が気になって理由もなく部室を訪れるようになっていった。だが、ある日十影は女子生徒の財布を盗難した疑いをかけられてしまう。自身のアリバイとして麟五と一緒にいたと主張する十影だが、相手方は共犯を疑って信じてくれない。そんな中、麟五はおもむろに立ち上がってこう告げた。「疑いは自分で晴らす」と。……十影と麟五、まったく正反対の性格ながら出会ってしまったこの二人。そして、それはこの後に発生する、ある「殺人事件」に大きな影響を与える事になる……。本格青春推理小説登場!
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:学園
雰囲気:未登録
展開:未登録
前半は斬新な盗難事件、後半はシリアスな殺人事件を収録。学園内で起こる二つの事件に鱗五が挑む! 過去のある事件から人間不信になっている十影少年と、探偵少女・鱗五との出逢い。青春に事件を絡めた、バランスの摂れた構成です。 ロッカー室の盗難事件、犯人の使った思いもよらぬ大胆なトリックとは……? 殺人事件の謎が暴かれる時、過去の真相も明らかに……! 加害者(にされている)側の十影にとって衝撃の真実とは?! 殺人トリックに動機と秘密が鮮やかに解き明かされ、見ごたえ充分です。犯人をめぐる過去、人間の裏、残酷な真相に胸がしめつけられます。様々な立ち位置の複雑な人間関係が巧みに描写され、誰の立場に寄り添うかで読後感が変わってくるのも本作の魅力です。 作中の恋愛要素は、想像力で補える絶妙な塩梅。鱗五と十影の成長、救いあるラストへの纏め方、著者さまの才能がいかんなく発揮された逸品です!