評価:★★★★☆ 4.4
私はセミだった。今は竜である。
生まれ変わった私は、遥か遠き異世界の地で、竜としての生を受けた。この世界でたった一匹の、最強の竜として。
なぜ蝉が竜に転生したのかは、私にはわからないが、
あるいは私は、いつか彼女に出会うために再び生を受けたのかもしれない。彼女の為ならば、私は何度でも歌おう。力の限り、命の限り。
ミーンミンミンミン ミーンミンミンミン
この小説はARCADIA様にも投稿しております。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
夏の終わりにまた読ませて頂きました。今年は娘も一緒に読ませて頂きました。8才になった娘に、「お手て絵本を読んで」と寝間際にせがまれ性的表現を置き換えて長い絵本のように、毎晩一話ずつ読み聞かせました。絵本特有の教訓は優しさなのでしょうか?日に日に娘は、弟と蝉に優しく接するようになりました。この作品を作って頂きありがとうございます。
蝉である。夏の風物詩の蝉である。人外転生は数あれど『蝉が転生』した話は初めて出会った。樹液を吸い、大声で鳴き、空より尿を放ち、つがいを求め、そして短い命を燃やし地に消えゆく、あの蝉である。転生して竜となれど、その魂の本質は変わらない。破天荒な行動に笑いを誘われ、いつしか愛着が湧いてくる。その行動は単純であり、それ故に純粋だ。懸命につがいを求める姿に心打たれて涙が溢れる。読み終えると、不思議な読後感と感動が残るだろう。蝉に泣かされるとは思わなかった。命も物語も長ければ良いものでは無い。短き生であり、短き物語だが、その生き様が全ての文字に込められている。人外だらけの異種族間交流なのに、そこには純愛と優しさが満ち溢れている。十分だと放たれる言葉に重みを感じ、ちぐはぐな心と体で鳴かれる歌が心を震わす。これは、その短き命をただ愛のために費やした一匹の蝉のお話。夏の暑さと共に思い出す物語。
たった3週間生きれば十分だと気付かせてくれた。3週間で友ができ、愛する者ができた。こんな短く、太く生きた生物をみたことがあろうか。この作品を読んでから、アスファルトの上に落ちている蝉を見かけると、寂しくなると同時に聞きたくなる。初めて光を見た時どんな気持ちだったんだと。たった3週間の眩しすぎる魂の輝き。あんな小さな蝉でも必死に生きている。たとえどんなに大きさが違っても、たとえどんなに短い人生でも必死に生きる生物は美しい。それを気付かさせてくれた作品です。
キーワードがかなり巫山戯ているなと、まあ、蝉が転生したお話だから仕方がないのかとおもいましたが、これは想像以上。巫山戯ているけど巫山戯てない。竜であること、蝉であったこと。どれも同じくらい貴重な時間であったということ。恐ろしく純粋。おいおい、こんな文書いて良いのかい? 的な箇所がままあるが、読み終えた後では自分がどれ程腐った視点で物事を捉える人間であるのか自覚させられる。うわぁ、読み終えたばかりだからまだ鳴けそう。
命短し歌えや蝉よ汝が歌は世界を響かせる蝉の魂を受け継ぎし竜が愛の歌を紡ぐ物語である新たな生を受けし蝉の竜は世界すべてに愛の歌を紡ぐのである。優しき女達のために気高き母親のために友たる者のために人の贄にされし子供のために愛しくも愚かな世界の贄のために世界の怨敵とされし竜はそれでも愛の歌を歌い続ける世界のだれが知らなくてもただ歌い続けるたった一つの貴女のために愚直なのか本能なのか蝉の竜が歌うのは愛の歌歌うは救世の歌だからと間違うなかれ歌うはただの愛の歌 優しき君に送る歌『蝉は土中にて何を想う』と問いかける者があれば私は答えよう『世界すべてに愛の歌を響かせるには』と 夏が来るたびに読み直したい。愚直な蝉の竜のうた
虫にすぎない蝉がドラゴンに転生する。なんとも変化球な転生だろうか。しかし、その蝉が蝉であるがゆえにドラゴンに成っても変わらない事に実に笑いを誘う。蝉であるがゆえに、その生命の儚さを知っている。ならばこそ、ドラゴンである蝉は何をするか? 飛ぶ事が許される時だけの短い生は、ドラゴンであってもその儚さには涙を誘う。内容的には本質的に蝉であるため、色々とアレな内容ではあるが、それは蝉であるがゆえご愛嬌。
よくある転生ものと侮るなかれ。小学校のころ、もっと夏は暑かったし、空は青かったし、雲はでかかった。そのときを思い出せば、聞こえてきませんか?夏のBGM蝉時雨。夏休みに外で元気に駆け回っていたあなた。屋内でゲームばっかりやっていたあなたも。今は少し寒いけど、こたつに入りながら蝉の生き様見てみませんか?笑いあり、少しエロあり(?)、涙あり。竜に生まれ変わった蝉とそれに関わる面々が奏でるハーモニーをぜひご堪能あれ。この物語を読んだ後、夏は君にちょっと近くなる。
蝉が竜に?なんだそれ?私達から見ればちっぽけな虫けらに過ぎない蝉が、伝説として語り継がれる竜に生まれ変わるなど、度が過ぎた話だ。蝉なんて鳴いてるだけじゃないか。スピーカーにでもなればいい。人間が竜になった方がよっぽど実りがあるだろう。しかし、なんと意外。蝉もなかなか侮れない。たかが虫けらの、魂の輝きが凄まじい。どんなちっぽけだった命でもこの生き方は魅せられる。―――生きるために食べ―――出会うために渡り歩き―――たった一人のために愛を歌う単純な、蝉だからこその欲のないお話だ。三週間、ただそれだけの短く長い物語だ。だけど、なんだろう。なんだか無性に夏のあの騒がしいセレナーデが待ち遠しい。
竜がミーンミンと鳴く。なぜなら、元セミだから。しかも、ヒロインはなんと樹木!擬人化も無しといいう硬派ぶり。なのに、一見奇想天外ながらも、読後にはそれが必然だったのだ、と思わず納得させられてしまう見事な文章の構成力に脱帽です。竜&転生ものなのに、昨今にありがちな異世界チートやハーレムではなく優しさと愛にあふれたストーリーは読後にただただ爽やかな感動が残ります。本当におすすめです。
セミ――卵から成虫になるまで3年~17年あまりの年月を地中にて過ごす半翅目に属する昆虫の一種。 あまりにも長い地中での生活に比べ、成虫で過ごせるのはわずか一カ月弱…その短い時間を命の灯が光り輝く限り、オスは存在の証明を残すべく、つがいを求めて魂の奥底から鳴き響く。たとえ叶わず望みになろうとも…。 だが、神は決してこの矮小かつ偉大なセミを見捨てたりはしない。敗北であれ、最後まで戦い抜いた一匹のセミに与えたのは絶対強者の身――竜としての生であった。 しかし、世界をも支配しうる程の強大な力を手に入れても魂は根からの『セミ』。 慈愛満ち溢れる世界樹の樹液を生前の舌技で『蜜壺』に突き刺して腹を満たし…。 異種と『性別』の壁にまで思い悩み、踏み止まろうが、諦めずに将来の伴侶を追い求め…。 今日も竜は大空を舞い、愛の唄を奏でる。 ミーンミンミンミン ミーンミンミンミン