評価:★★★★★ 4.5
シリーズ第三弾。
メメント狩りを続けるエヴァンとレジーニは、ある廃墟ビルでの仕事中に、三人の女性と出会う。彼女たちはかつてのエヴァンの仲間のマキニアン、ドミニク、ユイ、ロゼットだった。姉弟のような間柄のエヴァンはドミニクとの再会を喜び、覚えている限りの昔話に花を咲かせるが、一方でアルフォンセにやきもちを焼かせてしまう。
そんな中、ワーズワース大学に突如メメントの群れが押し寄せる。メメントとともに現れた“白い少年”シェドは、圧倒的能力をもって破壊の限りを尽くす。エヴァンはシェドに立ち向かうも、まったく歯が立たない。
混戦のさなか、彼らの前にもう一体、最強クラスのメメントーートワイライト・ナイトメアが現れる。
トワイライト・ナイトメアは、エヴァンたちの協力者であるオズモントが、長い間追い続けている、謎多きメメントだった。
新たな仲間、隠された記憶、現れた最強のマキニアンとメメント、謎は謎を呼び、エヴァンの前には更なる過酷な運命が待ち受けることに。
注意:残酷な描写あり
半端ない熱量を感じました。作者のこのシリーズにかける情熱は読んでいて心地よく、爽快です。子細に描かれるバトルシーン。圧巻です。丁寧に描写されるエヴァンとアル。やっとお互いの想いが伝わり、安心しましたwお気に入りのシーンは、レジーニとエヴァンのやりとりの中で、「一人で相手する気かよ、かなりデカいぞ」「デカイからどうした。早く行け、手遅れになってもいいのか」です。このシーン、もの凄く印象に残りました。今作では一気に登場人物、関係者、そして伏線が増えましたが、作者の構成力の賜物でしょうか、ストンと頭に落ちてきます。謎はまだ謎のまま。続編を読むのが楽しみです(^_^)
記憶喪失の主人公エヴァンは、闇に蠢く異形・メメントを退治する裏稼業者。エヴァンの過去を知る女性三人との再会の裏で、エヴァンと懇意の大学教授のもとに怪しい男が来訪する。彼の来訪目的は〈トワイライト・ナイトメア〉という特殊な役割を担ったメメントであり、教授が長年追いかけている対象であった。そして更に、彼らの前に〈白い少年〉が現れる。少年は赤紫の瞳を禍々しく光らせて言う。「さあ、やろうエヴァン。“つぎのアダム”がどっちなのか、きめなくちゃ」街を巻き込んでの大事件を、果たしてエヴァン達は解決出来るのか?想い人・アルを奪われたエヴァンは、果たして無事に取り戻すことが出来るのか?謎のメメント〈トワイライト・ナイトメア〉とは一体何なのか?そして〈アダム〉とは一体――?運命の歯車は動き出し、生死を賭した壮絶なバトルが幕開けした!読者たちよ、刮目せよ――!
この作品はBWRシリーズの3作目に当たる。1作目はエヴァンの目覚めと伏線と人々との゛出会い゛を。2作目は、エヴァンの相棒であり先輩、どっちかというと先生であるレジーニの゛復讐゛を軸にハードボイルドな物語が綴られた。そして、3作目。今回もエヴァンの前に大きな出来事が二つ起きる。一つはかつての仲間、というよりは姉貴であるドミニクとの再会。もう一つは何かを知っているらしき今作の敵であるジェドとの邂逅。ここにエヴァンの想い人たるアルが加わる事で事態が動く。今回はアルもまた大きく成長するのだ。ドミニクにエヴァンとの関係を聞かれ、またエヴァンとジェドの対決を経て、彼女はこれからの゛覚悟゛を定めるのだ。そう、この作品は彼女の成長の物語でもある。エヴァンとアルはこれから来るであろう、様々な困難をどう乗り越えるのか?二人の関係は? と楽しみは尽きない。続編が楽しみだ。
『なろう』において、SFジャンルは日陰との印象が強い。だがそれ故に、真実の王道を行く良作が埋もれていると言って良いだろう。今作は、まさにその頂点に位置する作品である。今作は【BACKWORKER’S ROCK】シリーズ第三部にあたる作品であるが、是非とも第一部より読まれる事をお薦めする。まるで生きているかのような魅力的なキャラクターが惜しげもなく投入され、主人公を取り巻く謎が事件を呼び寄せ、息もつかせぬアクションが繰り広げられ、そしてSFジャンルに収まりきらぬ人間ドラマが展開される。素晴らしいの一言に尽きる。レビューが只の感想の場になりつつある昨今、このレビューが、只の一ファンの興奮による過ちの書き込みではなかったと、知って頂けたら本望である。