龍はブッダを歌う

　人造ドラゴンが生まれて二十年経った世界。僕の努めるドラゴン専門のペットホテル『龍のお宿　みなかみ』に、半人半蛇のナーガが預けられる。名前はギニー。ギニーは人語は解するが何故か古いブッダの言葉でしか会話ができない。そしてそのすぐ後に、飼い主不明の迷子のちびドラゴンまで保護する羽目に。僕達は多忙を極める。
　その頃、ヴードゥーの神の世界では、一大事が起きていた。神の世界に『蓋』がされ、人間界と分断されてしまったのだ。その結果、ヴードゥーの神々は壊滅の危機に。『蓋』を退ける為には、それをした張本人、ヒンドゥー世界の破壊神シヴァの怒りを解かねばならない。ヴードゥーの十字路の神レグバは、救いの手を求めて遥々『龍のお宿　みなかみ』にまでやって来た。
　一方、ちびドラゴンに付き纏う密輸組織の影。そしてギニーに対する、ワシントン条約違反疑惑。そんなとき現れるギニーの飼い主。火を噴くちび助。警察の介入。
　こんな状況の中、僕たちはシヴァと対峙する。激しい戦い、歌われるブッダの言葉。守られる世界。やって来る、ギニーたちとの別れ。
　やがて梵天の登場で、物語は大団円を迎える。【この作品は、カクヨムにも掲載されています】