評価:★★★★☆ 4.3
貴方はすでに死んでいる――。
巷を賑わせる連続殺人事件。
主人公の原田瑞穂は、その5人目の被害者だった。
死者となった彼女が連れてこられたのは、とある密閉空間。
そこにいたのは、連続殺人事件の被害者達。温厚な中年コンビニオーナー。
寡黙だが理知的な医大生。
社交的で愛嬌のある女性漫画家。
イマドキの男子中学生。
女子高生の瑞穂は、五人目。死者五人に与えられた使命は、連続殺人事件の謎を解くこと。
被害者達は事件に関わる記憶を全て奪われているが、
あらゆる捜査資料はさじ加減一つで閲覧可能。
年齢も職業も住所も環境も違う5人が殺害されたのは、何故か。
事件の真相を解くまでは、この空間から出ることはできない――。被害者サイドから事件の謎を解き明かす死人会議。
彼女らは真相を解き明かすことができるのか。
それとも――。
話数:全32話
ジャンル:その他
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
メタフィクションとは少し違うが、被害者達が自分達に起きた事件を死後推理していくという癖のあるシチュエーションは非常に自分好み。トリックも作中丁寧に説明されわかりやすく、また全てを知ると非常に納得できるかつ驚きに溢れている。物語の仕掛けが複雑になればなるほど、推理物としては奥が深くなるがリアリティは薄れていく。それら全てを両立させるのは意外にもホワイダニット。あぁまさかここで動機がキーになるとは、と。読み進めていく最中踊り出したいほどだった。全体的に完成度が非常に高く、読了時間もそれほどではないため万人にお勧めの推理物です。
いや正直ナメてました。なろうで、しかも推理という(なろうでは)マイナージャンルで、これほどの作品に出会えるとは思ってもみませんでした。はっきり言ってプロ級です。書店に並んでいても、おかしくない。推理小説にはフーダニット、ハウダニットなどいくつかのジャンルがありますが、この作品は紛うことなくホワイダニットものです。何故やったか。その真相が明かされるとき、あなたは思わず膝を打つとともに深い感銘を受けるでしょう。