サインスピニングの話をしよう――あの古めかしくも新しく、ユニークなアドバタイジングの話を。
惑星を覆う規模の量子的情報ネットワークから、日本が消えてしまった未来。
その跡地に現れた巨大都市:環都の真ん中で、文字広告と図版の描かれたサインボードを振り回して客の袖引く彼らこそ、サインスピナー。
だが、彼らの超技・絶技が伝達されるとき、サインボードに生命が、決して無視することの許されぬ輝きが宿る。そして、運命の交差点:フィフス・クローバーでふたりの天才スピナーは出会った。
あらゆる技を一瞬で記憶・再現してしまう――アシュレダウ。
己自身を消し去り、サインと同化しようとする――シオン。これは、ふたりの小さな伝達の物語。
※本作:「ソウルスピニング:ザ・マイルストーン」は図書館ドラゴンの作者でもある「右さん」が企画されました「俺を信じずこれを読め!」内に掲載されております、奥沢トビスケ作の「燦然のソウルスピナ」嘘あらすじ&嘘レビューに、アイディアの発端を頂きました(ややこしいな)。今作の掲載にあたり、以上の経緯から「原案:右」のクレジットを入れていただけるよう、事前に原稿を送った上で、トビスケ側から提案にさせていただきましたが「必要ない。また、俺を信じずこれを読め! へのリンクも不要。原作は、あくまで燦然のソウルスピナ側である」とのお返事をいただき、このようなカタチでの掲載となりました。
もしよろしければ「俺を信じずこれを読め!」で、その発端となった嘘あらすじと嘘レビューをご覧いただければ、いったいなにが、どのような化学変化を起こしたものか、おわかりいただけると思います。
文筆業に携わる者の礼儀として、以上の経緯をご説明させていただきました。
※また、同時にサインスピニングは実在する競技・職業であり、本作中に描かれるものは実在する部分を拡大解釈、作者によるまったくの創作のつけたしなどが行われた空想上の産物であることを、明記しておきます。
実在の団体、歴史、個人、いかなるものとも一切関係のない、完全なフィクションです。
誤用・混同のなきようお願いいたします。
ソウルスピニング:ザ・マイルストーン
完結日:2014年12月26日
評価:★★★★☆ 4.4
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
注意:全年齢対象
サインスピニング。客ひきのため、看板を抱えて踊るパフォーマンス。 だが、ここにあるのは営利というあまりにも無機質な欲望ではない。 主人公達の叫びだ。慟哭だ。自問自答、問いかけ。そして告白。 言葉はない。あまりにも矮小な人の身体から解き放たれる衝撃波が空気を、心を震わせ、他者を魅了する。 空虚を抱えるアシュレ。どこまでも己を削り、そうでもしなければ届かない『どこか想いの先』を掘り出そうとするシオン。 彼らの魂は、サインスピニングを通じて肉体から解き放たれる。あらゆる物質を貫いて、魂の芯まで手を伸ばす。 この物語もまた、リズムのよい特徴ある文体を通じ、あなたのシンを(芯でも、心でも、真でも)躍らせる。 これ以上、それを言葉にしようとするのは、非常に難しい。無粋ともいえる。 想いは形に縛られるものではないのだ。 幸いなるかな、不幸なるかな。当作品は完結済みで中編である。