評価:★★★★☆ 4.1
父親が夜逃げした。借金を残して。
一人残された少年ルクト・オクスは父親の借金の形に奴隷商に売り払われそうになる。そんな時、借金を肩代わりして彼を助けてくれたのは〈金貸し〉である黒鉄屋のメリアージュだった。
メリアージュは少年ルクトに言う。
「〈ハンター〉になれ」と。
そんなわけで。今、ルクトは〈ハンター〉になるべくノートルベル学園武術科に通っている。
これは多額の借金を背負った主人公が、迷宮を攻略しながら在学中に借金完済を目指す物語である。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
『403 シングル・ルーム』これファンタジー小説のタイトルなのだろうかと最初に思った。また、親の借金を背負い命懸けのハンターになる事を強要され在学中に完済を目指すという中々に世知辛い粗筋に夢がないとも。だが蓋を開けてみれば初話から物語に引き込まれ、そんな事はどうでもよくなってしまう。スキル名『シングル・ルーム』は主人公の諧謔に富んだ命名であり、その隔絶した固有能力を軸に物語は綴られていく。鬱々として悲愴的な描写はない。主人公はおおいに悩みはすれどもどこか楽天的で、借金生活を苦にしているようには見えない。それは債権者である養い親に対する「恩は血よりも尊い」「金より恩のほうを多く借りている」等の思いによく表れている。そんな主人公が送る学園生活は友人に恵まれ、優しくそして暖かい。この物語は青春を謳歌しシングル・ルームという揺り籠から歩みだす一人の青年の人間賛歌である。
夜逃げした父親の借金の形に奴隷にされそうな主人公ですが、たまたま出会った女性に助けられます。そして借りたお金(1億6千万)を返すため、迷宮ハンターになるべく主人公は学園へと通っているところから始まる物語!だいたいのあらすじはこんな感じです。この世界のハンターは個人能力というものがあるのですが主人公のはチートというか便利なものです。それのせいで学園から他の生徒とパーティーを組まないように言われているのですが、そこが物語に結構関わってきます!割とダンジョンものがメインの話かと思いきや、基本はそれに関わる人物たちの人間関係がメインですね!時々主人公を巻き込んで起こる問題や平凡な日常が盛り沢山となっています!各章10万文字前後なのでだいたい文庫本1冊くらいですし外伝なども含め全15章なので読みやすいうえに読み応えも十分です(*´꒳`*)面白いので是非読んでみてください!
この作者の前作、「乱世を往く!」もそうですが、舞台を非常に細かく設定しています。この小説は、学園をホームとし、迷宮探索を行なっていく、と言った流れで進みます。探索の進行度が成績や、進級要件に関わってくる、といったシステムです。商用のRPGでも、たまに見る内容ですが、「レベル」、強さの尺度ですが、これをどう表現するのか、と言うのは、こういった小説では、ひとつの課題だと思います。開き直って、「レベル」で表現する人も多いのですが、この作者は、独特な設定を用い、これを表現してます。また、登場人物の背景もしっかりと練られており、人物の言動も、きちんと、その背景に応じたものとなっており、逸脱がありません。こうした設定の細かさから、文章量は、やや多く、暇な時に軽く読む、と言った方には向きませんが、腰を据えてファンタジー小説が読みたい、といった方には、非常にお勧めかと思います。