評価:★★★★☆ 4.3
わかば町に住む小学六年生の西園シンイチは、助けると通常の十倍ヒーローポイントがつく協会公認のボーナス少年である!
ヒーローポイントは家電や家具はもちろん現金とも交換できるヒーローたちの生命線だ。そのポイントがシンイチを一度助けるだけで一ヶ月は働かなくて良いだけの量手に入る――その事実を知ったヒーローたちは、純粋な正義感からシンイチを助けるために立ち上がった! 国内外から次々と現れる食うに困ったヒーローたち! 果たして彼らはシンイチの前に立ちはだかる困難を乗り越え、その月を寝て過ごすことができるのか!?これはわかば町内ヒーローズ、その激闘の日々を一話完結形式で綴り、週二回ぐらいの頻度で更新されるタイプの戦いの記録である!
話数:全26話
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:ギャグ
展開:未登録
注意:全年齢対象
アンパンマンの生みの親・やなせたかし先生は、こんな言葉を残しておられます。 「強いからヒーローなんじゃない。喜ばせるからヒーローなんだ」と。 ならばこの作品に出てくる彼らは、ヒーローに違いない。 か弱き人々全てでなく特定人物しか守らないエコヒイキだろうと。 己の正義を貫くために周囲に迷惑をかけまくるダメ人間だろうと。 ちょっと会話が通じない暴走思考回路だろうと。 悪と戦わず自分のために能力を使う自己中だろうと。 読者を喜ばせる彼らは、紛れもないヒーローだ。 警察に御用される気がしてならず、そのうち街から姿を消す可能性も否定できないですが。
あらすじの時点で、センスを感じます。異常なほどのハイセンスです。小説で笑わすというのは、かなり難易度の高いことだと思います。一歩間違えれば、読む者に嫌悪感をいだかせるのです。笑いには「毒」がつきもので、その毒をうまく調理することが必要だと思うのです。その調理が抜群に上手いのです。楽々☆3つです。まず、デタラメでアホウな世界設定に見えますが、それを思いつく作者様のIQの高さに恐れ入るのです。そして、登場するキャラがもう、どうしようもないのです。面白い。笑わすというのは、こうやってやるんだよという見本です。表現力、語彙の豊富さ、総合的な文章技術も高いのです。思いっきり笑ってみたいという方はぜひ本作を読んでみるべきでしょう。本当にスゴイ破壊力です。
すでにご存知の方には説明不要なのですが、まだまだなろうでは知名度の低い作者様。この作者は、ギャグのスペシャリストで、これまで主に短編で読者を笑わせてきました。その作者が、「コメディタッチ」「ラブコメ」「なろうテンプレ取り入れ」ではなく、真にギャグに特化した作品を連載しています。これがヒットしなきゃ嘘だ、と言いたくなる、とてつもない面白さ。一話完結型なのでその意味でもとっつきやすいです。レビュー筆者も自称コメディ作家なのでよくわかるのですが、ギャグ作品は、「笑わせられるか」がすべてなんです。駄目だったら、どんなにいいところがあっても全く評価されません。ホラーで怖くないものに良作はあっても、ギャグで笑えないものは絶対に駄作なのです。そんなシビアな読者の期待に、ここまで応えられる作家・作品は世界中探してもそうは見つからないと思います。