ひとりぼっちの莉子 完結日:2015年3月31日 作者:深瀬静流 評価:★★★★☆ 4.3 高校の卒業式が終わったあと、スクールバッグと卒業証書をゴミ置き場に投げ捨てて、竹刀を持って丸の内の巨大ビルに乗り込んだ莉子。社会に出て行く門出の日に、十八歳の少女は、愛する少年のために、自分を捨てた父親にたった一人で戦いを挑んだ。全18話 話数:全18話 ジャンル:現実世界恋愛 登場人物 主人公属性 女性主人公 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 ときに涙 ときに笑い ほのぼの 女性向 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
高校卒業後十年間、ある理由からがむしゃらに働いてきた莉子。次の仕事は豪邸に住み込みの家政婦だ。会社を経営する家長も、後継者である長男も、仕事にかまけて家族を無視している。離婚した彼らの妻の代わりに家を取り仕切る家長の妹は、世間体ばかり気にする。次男は高校を中退して引きこもっている。長女は荒れかけている。長男の息子は叱られるような真似を繰り返す幼稚園児。いつ崩壊してもおかしくない一家が、けれど、莉子の出現によって変わる。家族に向き合うことを思い出し家の中の淀んだ雰囲気が吹き払われていく過程は、大きな読みどころだ。面白いのはその莉子も、特別有能な主人公ではないところ。他人への関心が薄く、首を恐れず、思いつきで雑な行動を取る。それらが結果的に事態を好転させていく不思議さ。ひどく不器用で重い情念を抱える彼女もまた、この家族らと関わる中で変化していく。そこにも注目してほしい。