評価:★★★★☆ 4.4
【書籍化】京都の短大に通う「わたし」篠崎千晴。二回生の秋、就職も決まったある日、伯母からかかってきた一本の電話に、彼女は驚いた。ずっとその存在を知らされていなかった伯母の異父弟、すなわち「叔父」が、実はすぐ近所に住んでいると言うのだ。
彼に届けものをしてほしい、と頼まれて出逢った「叔父」、そこから始まる風変わりな人々との日々。やがて就職したホテルで聞いた奇妙な「怪談話」、それをきっかけにまた新しい出逢いが訪れる――京の街を舞台に、孤独な半生を送ってきた少女が再び人生を取り戻す。(著作権者・富良野 馨)
※2018年12月にポプラ社さんのポプラ文庫ピュアフルレーベルより書籍化されました
※なろうに掲載していた『雨音は、過去からの手紙』(旧題・雨に似たひと)マイナビファン文庫より書籍化しています
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
円満な親子とはとてもいえず、複雑な思いを抱く女子大生:千晴は家族と離れるために離れた場所へ就職する。 数少ない仲のいい親戚であるおばに頼まれて、今まで存在すら知らなかったおじの元へ荷物を届けることになったのだが……。 冒頭や粗筋を見ると文学的な要素のあるオカルト小説に思われる方もいるかもしれない。だがこれは文学であり、愛であり、物語だ。 「何か」を見ることができるおじもまた家族に暗い気持ちを抱いていて、千晴は彼をわがことのように理解できる。 二人の出会いをキッカケに、悩ましい関係や仕事先で起こった悲しい事件、そして彼ら自身の心が動いていく。 わかりやすく丁寧な描写もさることながら、物語的にも人間的にも非常に「繋がり」を大切にした心温まる作品である。 無駄もほとんどといっていいほどなく、見事としか言いようがない。 完結済みで二十二話。一気に読めるので是非読んで頂きたい。