評価:★★★★★ 4.5
亜熱帯の、美しい海に浮かぶ、とある小さな島。
珊瑚礁にかこまれた豊かな海でユウナは泳ぐ。
海の底には死したものの魂の還る場所があると、島の人々は信じている。海の底に沈み、たゆたう魂を守る「かみさま」と、「かみさま」に守られたユウナ。青い目をした灯台守のトキ。そして、未来予知能力を持つ星読みのリゼ。
リゼはユウナに「あなたには運命のひとがいる」と告げるが……。※短編「ゆびさきに星」とリンクしたお話です。
2015年・コバルトノベル大賞二次通過。
「カクヨム」にも投稿しています。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この物語を読んでいるあいだ、なにかに「守られている」ような気がした。さざ波のうえに全身で浮かびながら揺れているみたいな、ゆりかごのなかで慈しまれているみたいな、そんな心地だった。海の底にある古代風の神殿、そこに眠っていた宝物を発見したような、そんな気持ちにもなった。いまよりもっと「神」の息吹が身近にあった世界。優しさと残酷さに満ちた人の心。そのなかで彼女の魂はどこまでも透きとおり、だから神に「選ばれた」。そして訪れる運命の「愛」。物語のなかに雨が降っても、嵐が起こっても、わたしは穏やかなさざ波に浮かんでいた。心から安心して、そのさざ波に身をゆだねた。ほんとうに素敵な物語です。