評価:★★★★☆ 4.2
勇者は戦死し、1人の男が火刑に処された。窮地の王国を救い大陸に平和をもたらしたのはその男だったというのに。時が流れ辺境に1人の不思議な子が生まれる。名をマルコ。再びの戦乱に軍を率いて武名を轟かせるその在り様は、かつて炎の中に殺された男と酷似していた。// 本編完結済。外伝不定期連載中。MFブックス小説家になろう大賞2014優秀賞受賞。2016年4月25日完結巻刊行。
話数:全148話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
文章がわかりやすいながら想像の幅を持たせていて、読んでいてとても面白いです。ストーリーも基本はわかりやすく、でもところどころで考える場面もあり飽きませんでした。人物の描写よりも風景や環境の描写がしっかりしてて、頭の中でイメージしながら読むのが楽しいです。キャラクターや設定頼みが多い昨今すごくしっかりした、作品だなと感じます。これからも楽しみにしています。
“知るものぞ知る隠された歴史の中。世界は緩かに滅びを迎えつつあった。されど彼等は踊る。あるものは歴史を歩み、犠牲のうえに世界を築いた。あるものは真実を知らず、幻想を信じていた。あるものは真実を知り、そして絶望のうちに諦めた。あるものは真実を覆い、信仰に身を任せた。あるものは見果てぬ世界に、竜を知る。そして、彼は世界の敵となることを決意した。※注:個人的要約です。この物語は闘う者達の物語であり。超越者の””彼””の物語でもある。読者は””彼””の視点を共有することを許され、世界を睥睨する。時に彼の崇拝者として世界への躍動を許される。彼の全てを理解する必要はない。なぜならこの盤上は彼の掌の上にある。我々は盲目的に追従してもよい。敵多く戦いは必然。そして、彼は歴史を作る。特等席は向かって上:火刑戦旗を掲げよ!です。”
これは、お金払ってでも買って読むべきレベルのものです。俗っぽく言えば、「振り込めない詐欺」「買えない詐欺」魔人と忌み嫌われた英雄の死から物語が始まり、辺境の片田舎で生まれた少年と、一人の行商人の出会いから広がっていく世界。その中途で出てくるキャラクター全てが、余すことなく魅力に溢れています。ストーリーの全て(世界観・人物・心象)を見事に文字に表現しきっている作者さんに脱帽です。ぶっちゃければ、このサイトで読んだ小説の中で、ここまで脳をフル活用してイメージして楽しんだ小説はありません。詩的表現で分かり辛いと敬遠するなかれ、そこから己の中で世界を広げてイメージしてみましょう。そしたら見えてくるでしょう――燃える赤布に黒十字を描かれた旗のもとに集った英雄たちが!その英雄達の先頭を駆ける少年の姿が!――そして、世界は燃え上がる!!――
“ 只戦いを描くだけの戦記物とは一線を画し、舞台となる世界の陰陽両面の歴史や文化、王家・貴族や教会の乱れ踊る思惑など、確りとした世界観の下に描かれる数奇な生を歩む主人公とその周りの人物達の物語。その完成度は出版作品と比しても、甲乙付け難いものだと感じます。 そして物語や登場人物を含めた何よりも、作品を形造る美しい日本語の文章が素晴らしいの一言に尽きます。昨今の読み易さだけの軽い言葉遣いの異世界転生物やチーレム物の作品とは明らかにレベルが異なるのが一目瞭然です。 物語の好悪が分かれ評価の差もあるかもしれませんが、読専の方々だけではなく書き手の方々にも、この作品の””言葉””や””文章””からなる日本語の美しさだけは是非一度は目にして戴ければと願って止みません。 ”
完全な架空世界を舞台とした戦記ですが、村や町の生活水準が矛盾せずしっかりと分かるほどに描写が細かい作品です。キャラの心理描写にも力を入れておられ、ついつい一人一人に感情移入してしまいたくなるほど、グイグイと引き込まれていってしまいます。主人公のマルコは幼少の頃からその尋常ならざる才能を発揮し、挫折しかけた大人たちを従えていきますが、彼らの心の動きが鮮明に描かれているので展開に無理がなく、すらりと頭の中に受け入れることができます。年少の英雄に惹かれる家臣たちというのはファンタジーにありふれていますが、その理由は大概フィーリング。しかしこのマルコの才能は曖昧なところ、理不尽な部分がなく、読者に対しても「これは天才だ!」と思わせるに十分な説得力を持っています。自分が今まで見たネット小説の中で屈指の出来です。俗っぽい言い方をすれば「金を出しても読みたい傑作」。
本格派戦記ものとして、本が出てもおかしくないレベルの作品。戦争、そして謀略、さらに、それらに関わる人間の内面の描写それらが非常に高い次元で絡まりあい、それでいてストーリーや読みやすさが破綻しないどころか、キャラクター一人一人の魅力を引きたて一層の魅力を出している。並の作者では風呂敷が破綻してしまいそうなボリュームの作品だが、それでも読者を置いてきぼりにしない作者の力量に脱帽である。
私自身が、ここ数ヶ月に読んだ小説を読もうの作品の中では、群を抜いて素晴らしい小説です。私は軍記ものが、過去読んだ経験からあまり好きではなく、それでも度々読んでみてはいましたが、読み切った作品はほぼありませんでした。しかし、この小説に出会い、これほどのものならば、好きではない分野でも没入せざるを得ないと思わされました。まず、なんと言っても物語の構成力。もはやアマチュアの域を超え、プロと言われても納得してしまいます。たくさんのキャラクターそれぞれが動くことで物語全体が大きく脈動しています。そして何よりも謎めいた主人公の魅力に惹かれます。また、視点の使い分けも大変うまく、主人公以外の視点がほぼ全てにも関わらず、上にも書いたとおり没入させられる文章です。シリアスが苦手な方も、このジャンルが苦手な方にも読んで頂きたい作品です。ぜひ読んでみてください。拙い文章でお目汚し失礼しました。
謎めいた主人公を始め、敵味方を含めた脇を固める登場人物の全てのキャラクターがしっかりと物語を構成している。文章表現も安定していて、稚拙な表現に苛つくことなく安心して読み進めることができる。ストーリー展開も読者の期待を徐々に引き出しながら、期待を裏切らない。ここには沢山の小説が登録されているが、その中でもっとも面白く連載が楽しみな作品です。
本来、救国の英雄であるはずの男が嵌められ、命を落とす。プロローグはそこから始まります。まだ幼い、村長の息子である主人公のもとに集うことになる仲間(おっさん、おにいさん)がいずれも魅力的です。子どもらしからぬ主人公。幼少ならもっと隠すべきだと思う人もいるかもしれませんが、私にはその隠しきらない様子に年長者である仲間だけでなく、読者までも惹きつける魔性めいた魅力を感じました。能力はあっても、自分の力では羽ばたけなかった傑物達が主人公という大きな翼を得、主人公という翼を守護し、共に空高く飛翔していくかのような物語はまさに本格的な戦記物。文章もこの物語によく合った、どこか詩的な表現が多く、時間を忘れて読み耽ってしまいます。これまで3作品完結させている作者さんなので安心して読めますし、今、大きく物語が動き出したところです。今後主人公が何を成すのか、続きがもっとも楽しみな作品です。