評価:★★★★☆ 4.3
猫を愛する全ての方に捧げる猫目線からの物語です──ポイント? ブックマーク? いえいえ、そんなものはいりません。ただただ一度読んで頂きたいだけ。この作品に対してはそれだけが本望なのです。
人間と同じように猫にだって派閥がある。
それは“野良猫”と“飼い猫”だ。【 シャム猫のイシャータ(♀)】はある日突然飼い主から捨てられ、何の不自由もない“飼い猫”生活から今まで蔑視していた“野良猫”の世界へと転落してしまう。ろくに自分の身さえ守れないイシャータだったが今度は捨て猫だった【 子猫“佐藤 】の面倒までみることになってしまい、共に飢えや偏見、孤独を乗り越えていく。そんなある日、以前淡い恋心を抱いていた風来坊の野良猫【 ヴァン=ブラン 】が町に帰ってきた。それを皮切りにイシャータとその仲間たちは隣町のボス猫である【 ザンパノ 】との大きな縄張り争いにまで巻き込まれていくのだったが…………三部構成ですが、それぞれ一話一話にテーマを置いて書いております。シリアス、コメディ、せつなさ、成長、孤独、仲間、バトル、恋愛、ハードボイルド、歌、ヒーロー、陰謀、救済、推理、死、ナンセンス、転生、じれじれからもふもふ、まで、私的に出来うる限りのものを詰め込んだつもりです。個人、集団、つらい時やどうしようもない時、そんな時に生きる希望や勇気の沸く、そして読み終わった後にできうる限り元気になれる、そんな物語にしようという指針のもとに書きました。よろしくお願いいたします。(アルファポリスさん、カクヨムさんとの重複投稿です)
話数:全32話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
人情味溢れる猫の物語、とここまで筆を進めただけで既に矛盾がある。猫なのか、人なのか、それが問題だ。きっとこの小説は、猫が書いたに違いない。ああ、そうか。作者は猫だったのだ。「わしゃ」と己を呼ぶペイザンヌという猫が、本当に見聞きしたことをこっそり人間に教えている。それだけなのだ。でなければ、こんなにも猫の世界に詳しいわけがない。笑いたい、泣きたい、ならばこの「イシャータの受難」を読むといい。読んだあなたも猫となって、この世界を見渡すことができるのだから。「猫に生まれ変わりたい」昼寝をする野良猫を眺めながら、そう思ったことがある人こそ、この物語を読んで欲しい。ここでは多くは語らない。「イシャータの受難」を読んで、それから再びこのレビューを思い返したあなたは、きっと私に同意してくれているだろう。
猫の世界を覗いてみたいと思ったことはありませんか?道で見かける猫がいる風景。そこにはどんなドラマがあるんだろう。猫たちはどんな会話をしているんだろう。この作品は、そんな猫たちが主人公の、とても楽しくて冒険心に溢れた物語です。飼い猫から野良猫になったイシャータを始めとしたたくさんの個性溢れる猫たちが活躍します。派閥争いがあったり、切ない恋の話もあったり、あっといわせる仕掛けも巡らされており、一本の映画を観たような満足度満点のお話です。猫好きな人ならきっとこのお話が気に入ること間違いありません。
猫は好きですか? もし「好き」ならば、この作品はきっとあなた好みのお話でしょう。 もし「嫌い」ならば、この作品を読んだあと、その気持ちはおそらく変化していることでしょう。 人間と隣合わせで暮らす猫の世界を、猫の視点と心でとらえ、恋愛、格差、派閥、縄張り争い、謀略、駆け引き、挫折しながらも立ち上がり成長していく、そんな彼らの生きる姿を描いていきます。 ときに人間臭く、ときに猫らしい、彼らの懸命に生きるその生き様が、筆者の巧妙な演出とストーリー展開によって読み手を惹きこんでいくことでしょう。 わずか12万文字にも満たない本作ですが、あらゆる要素が詰め込まれ、エンターティメント性の高い映画を見たような、そんな気持ちになるはずです。 生きる力が湧くような猫達の姿。是非ご一読を!