評価:★★★★☆ 4.3
時は現代、場所は日本。運良く手に入れた八億四千万円を魔法の研究に全て突っ込み、同志と共に星を利用した魔法である通称天文術式を開発したぶっとんだ男、天野大河。異世界に向けて天文術式で「私はここだ」とシグナルを送ったところ、返事代わりに召喚される。異世界で天野の天文術式が唸る!
話数:全9話
ジャンル:異世界ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:異世界
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
理科系の人なら楽ませる、理論的に魔術をひたすら研究する話です。もし現実で魔法が実行可能なら、もし魔法を叶えるために生涯を捧げる頭おかしい人間があるなら、こうなるではないかと思わせる、信憑性を持つ、リアルさ溢れるファンタジー。延々と進まないグタグタのなろう系ファンタジーと対照的に思わせる、ただ6万字だけとは思えない展開の早さ、魔法研究とほんわかのハートフルストーリを絶妙にミクスして、途轍もない完成度。中二心が未だに辞められない読者に薦めたいあつい理系ロマンス。
ひょんなことから現代世界で魔道の道に関わり始める主人公。その後、異世界転移を経て天文術式の深遠を紐解くことになっていきます。異世界でも変わらずマイペース。そんな中でめぐり会う、幾つかのかけがえの無い縁(エニシ)。地味で地味で地味な検証と実証の末にたどり着く成果。異世界が舞台ですが、科学の本質がここに垣間見えます。そして訪れるカタルシス。天文術式が内包するエネルギーレベルで言えば塵芥程度の成果ですが、理不尽を根底から打ち破るクライマックス!全九話61000字の短めの作品です。ですが、密度が高いのでこの上なく没頭できるでしょう。是非、素敵な余韻を共有していただきたいと思います。