三百年程前、《翁》と呼ばれた荒ぶる神が起こした史上最悪の災害、神厄が日本を潰滅の危機へと陥れた。
未曾有の事態は神へ抗う術を得た呪術を行使する神界師と呼ばれた人間たちによって、甚大な被害と多くの人の命と引き換えに幕を閉じた。
神と人、その絶対的な力の差が保たれている現代。最凶の悪神を封じた神界師たちの働きは、国家神道の礎を築き、日本の秩序と安寧を守る主力要塞にまで発展していた。
人々は国の要塞に確固たる信用と安心を委ねていたために、当時三歳ながらにして桁違いの霊力を持って生まれてきた、明法院美月によって三百年前の悪神の封呪が解かれるなど予想だにしていなかった。
解放された悪神は、美月の霊力を喰らうことで再来の時を窺い、復活までの器として彼女の中に棲み付いてしまう。
美月の父親であり、国家特級神界師として最高権威に立つ明法院藤永は、娘の身の安全を第一に考えたために、国への報告を回避する。それにより美月を主とする式神の命を宿した分家筋の明法院弓弦には、誰にも口外せず、明法院家の力だけで悪神を調伏させることを提案する。
十二年後。弓弦に次いで神界師育成のための国策機関「東京国神學」へ入学するが、美月は懐疑の的として追い込まれていくことになる。
《翁》を身の内に棲まわせた美月を中心に、周囲は悪化の一途を辿りながら次々と事件が起こるようになる。
明法院家に次ぐ力を誇り、不可侵の和合を持つ五家と呼ばれた五人の神の宮の嫡子達とも、藤永の後を継ぐ美月の存在の危うさを巡り、次第に見えない亀裂を走らせていく。
そしてついに、悪神が美月という依り代を打ち破り、ついにその存在を露わにする。
弓弦は一人悪神に立ち向かい、それを調伏しようとしたが失敗に終わってしまう。
一年後。弓弦は神界師となり、悪神に食われてしまった美月を助けるために国家の主力部隊となる神祇官へ所属した。
ステージ.Ⅶ 〜彼女が悪神になった日〜
完結日:2016年2月4日
作者:悠希 紗依
評価:☆☆☆☆☆ 0
話数:全13話
ジャンル:アクション
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録