竜守りの妻 完結日:2016年6月7日 作者:momo 評価:★★★★☆ 4.2貧しい村で生まれ育ったファミアは結婚した初夜の晩、夫となった男に逃げられた。実家に戻り生活を続けたが、貧しさゆえに身売りをするしかないと決意を固めた同時期に、竜守りの妻にならないかと話を持ちかけられる。娼婦になるよりはと再び嫁ぐ決意をし、向かったのは山をいくつも超えた遠く深い竜の住まう森。そこで夫となる男との生活が始まる。 話数:全46話 ジャンル:恋愛 異世界恋愛 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 龍 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 夫婦 年の差 隻腕 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
家畜のように売られた花嫁である主人公が、幸せな人生を歩む姿が描かれています。美しいが、帰る場所もない悲愴な決意で竜守の妻に成る主人公なのですが、最初の結婚がトラウマ級の、誰だって卑屈になるような無礼な事をされたもので色々怯えまくりなんです。ですが、女として愛され自信をつけ堂々と立派な妻と成長していきます。しっかりと家庭を守り、居場所を拵えていきます。旦那さんも、今この状況だからこそ彼女の価値が分かるんです。2人ともこの状況で出会ったからかけがえの無い小さな幸せに気が付けたんです。一つ重要な義務が竜守の妻には有りますが、そのやり取りの中で旦那の元カノが登場します。彼女も価値観が変化してるんですね。結果的には。真実の言葉がグサッと刺さったのね。でも、それが救いに繋がって良かったねとウルッときました。結婚って、縁を結んで作り上げていく物だと染み染み思いました。
無駄がない文章と緻密に張り巡らされたフラグ、そしてきちんと回収ができていて素晴らしかったです。リクエストにもお答えされる姿勢にも大変好感を覚えました。よく、ありがちな「国が滅亡するまでこの幸せは続くのであった」「彼女は死んでもなお愛する夫に心を捧げるのであった」など終わりを連想される言葉がなかった事が良かった。
妖精みたいに綺麗な主人公が嫁として売られて行った先は竜の森。夫は熊みたいな竜守り。熱にうかされた恋愛ないけれど、家をきれいにし、食事を作り、お風呂を沸かす繰り返される彼女の日常によって深々とふる雪ように夫への愛しさが積もっていく。そんな描写に心癒されます。特に熊みたいな夫がでれっでれになっていくのがよいです。あーいいな、こんな嫁ほしい親愛を築いていく夫婦はとても素敵です。結婚っていいな、そう思えました。
何気なく開いて、そのまま一気に読んでしまいました。独自の世界観が作られていることもそうですが、特に主人公の心理描写に引き込まれました。主人公は竜の血と見た目以外には特筆すべき特徴の無い、ただの弱々しい女性ですが、読み進めるにつれて人間的な愛らしさを感じます。キャラクターが魅力的だから面白いのではなく、文章が面白いからキャラクターに魅力的を感じるのですね。特に際立った設定ではないのに、設定だらけのごちゃごちゃしたファンタジー小説よりずっと面白い。文章による表現力がいかに大切か、強く感じます。読者の上から目線で恐縮ですが、子供の作文みたいな文章を並べまくるようななろう作家達にこそ読んで欲しい作品だと感じました。