古参侍女の最後の恋 完結日:2016年6月5日 作者:橘 珠水 評価:★★★★☆ 4.1エルナは、国境に近い街トレヴァスの傍にある城塞の古参侍女だ。三十路を半ばも過ぎ、地獄耳のチクリ魔とすっかり恐れられ、嫌われ者になってしまった彼女の心の支えは、現在駐留中の騎士隊を率いるオルトヴァーン隊長だった。けれど、彼が赴任してきてもう五年。王都に帰還してしまう日は、もう間近に迫っていた。 話数:全13話 ジャンル:異世界恋愛 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 騎士 時代:中世 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 お局様 侍女 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
恋。奔放な恋。自由でない恋。惑うだけの恋。若人の瑞々しい恋。ろくでなしの恋…… このお話には、様々な恋が登場します。 まるでお花のように咲くそれらを舞台の背景にして、ヒロインは内心を語ります。“この思いをそこから先へ進ませることは決してない。何故なら、オルトヴァーンには王都に妻と娘がいるのだから。” 奥ゆかしく、しかし頑固なエルナの恋。 最後の最後まで語られない、ヒーローになれなかった騎士の恋。 臆病な中年二人の恋模様が、作者の筆使いによって美しく描かれるのには、見事というしかありません。“俺が王都へ戻る時は、一緒に来てくれないか“ ええ、喜んで。と素直に言えたらどれだけいいでしょう。けれど、それさえも年齢を重ねると簡単でなくなってしまうものなのです。 ひとの心のどうしようもなく弱いところを、優しく丁寧に丁寧になぞってくれる、綺麗な短編です。