評価:★★★★☆ 4
親友が残した手紙から始まる物語。竜王不在の北国に、冬の終わりは訪れるのか――。
前王が逝去して百年あまり、北国は寒さと飢えで凍えていた。そんななか、東国からやってきたシキは、謎の紳士キリクによって国立魔法学校へ強制連行される。待ち受けるものは友との出会い、試練、そして陰謀――親友への手紙によって終わる物語。
※2016年5月本編完結
※2016年7月番外編、全5話完結
話数:全115話
ジャンル:異世界ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
その他要素
竜王不在の北国では、寒さと飢えにより厳しい状況に直面していた。そんな中、東から北国に訪れたシキは、魔法学校の先生キリクによって国立魔法学校に連れて行かれる。そこでシキは友と出会い、多くのことを学び、やがて自身に突きつけられた運命と対峙することになる――。序盤、友との和やかな日常は物語に温かさを与え、個性溢れる頼れる先生たちの存在は世界観をさらに深くしてくれます。ですが中盤以降、激しい戦闘、涙なくしては読めない話など、心に深く刺さる話が続いていきます。しかしそこで読むのをやめてはいけません。友の大切さ、愛の深さなどを、終盤で実感することができるのですから……。綿密に練られた設定、言い回し、そして流れるような圧巻の伏線回収――読み応えのあるファンタジー小説としても楽しめることでしょう。心優しい少年が悩みながらも友と歩んでいく物語を、是非とも最後の一文まで読んでほしい作品です。
前王が逝去して百年あまり、北国は寒さと飢えで凍えていた。そんななか、東国からやってきたシキは、謎の紳士キリクによって国立魔法学校へ強制連行される。そこで彼は、かけがえのない存在たちと出会う。そこで彼は、様々な知を得る。そこで彼は、命の尊さを知る。そして彼は、自身の運命と使命を知る――。美しく緻密な文章は手が抜かれることなく全編にわたって読者を楽しませるだろう。シキやキリクは勿論、彼らを取り巻く友人たちや魔法学校の先生たち等の魅力的なキャラクターも物語を彩る。そして、一番注目してほしいところは、綿密に伏線が張り巡らされたストーリーだろう。上記の二つも凄いところだが、ファンタジー小説好きには是非そこに注目してほしい。作者のエゴではない、純粋なストーリー。全てが解った時、爽快感を絶対に覚えるはずである。是非、皆に読んでほしい小説だ。