評価:★★★★★ 4.5
フランケンシュタインにまつわる思い出話から始まりましたが、どこにすっ飛んでいくかわたしにも解らない、徒然なる筆のすさびでございます。テーマが一貫しておりませんので、読みづらいお話もあるかと存じますが、お付き合いいただけたら嬉しく思います。
長くなってまいりましたので、完結にしました。エッセイは『大根にも花は咲く』、『ジャガイモの花は薄紫色』で続いております。無断転載、無断複製を禁じます。
話数:全132話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
澁澤龍彦がその生涯に遺した作品は、小説よりもエッセイのほうが圧倒的に多い。私事で恐縮であるが、大学生だったころの私の教養めいたものは澁澤龍彦のエッセイ群によって涵養された。当時の私にとって、依るべき教科書であった。貪るように読みふけり、呑みこもうとした。豆腐の角で云々という語句にはむかしから、わけがわからないなあという感想しかない。豆腐の角で刺突したところで、なにも貫けやしないではないか。『豆腐の角で怪我するぞ』というタイトルの意味については以下、私なりの解釈である。やわらかい、読みやすい文体である。話題は歴史から映画から日常まで、多岐におよぶ。豆腐のようにぼろぼろと、つかめば崩れてしまいそうな。だが、しかし。十何年まえの読書体験がフラッシュバックする。貪るように読んだ澁澤龍彦。それは私の胸を貫く柔軟な剣。このエッセイを読むことで、小説家志望として得るものは多い。