評価:★★★★☆ 4.2
嘘をつかれて、裏切られて、暴力を受けて。
そうして逃げた先で彼女が出会ったのは、一匹の“猫”だった。初めて知る、自分より弱い存在だった。
「あたしがお前を助けてあげる。お前はあたしが守ってあげる。あたしがお前の親で、あたしはお前の味方だよ。あたしだけが、お前の味方なんだよ」
誓いはやがて彼女を縛り、元から歪な“猫”との関係を、更に歪めて歪ませていく。
話数:全4話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
寂しい。悲しい。ひとりぼっち。子どもたちの生きる世界は、とても小さく残酷だ。異質なものは突かれ、はじき飛ばされ、傷だらけになって転がるしかない。そんな場所で所在無く彷徨う少女が、異形に気まぐれに愛情をぎ、またそれを捨てたとして、誰が彼女を責められるだろう。だって、彼女はそうやって育てられてきたのだから。少しばかり上を見上げてみれば、青空が見えたかもしれないのに、少女と猫にはもはや泥にまみれた袋小路しか残されていない。それでも、異形の猫は少女を愛しているのだ。孤独な少女が、最後まで両親の心を欲しがったように。寂しく悲しい二人だけの世界。誰にも声の届かないその閉じられた世界に、切なさと同時に少しばかりの安堵と幸せを感じたとしたら……。それはきっとあなたもまた、胸に一抹の寂しさを感じて生きていることの証明であるに違いないのだ。