評価:★★★★☆ 4.1
この春から社会人になり、生まれて初めて実家を離れて一人暮らしをする事になりました。
職場から近く、駅近、コンビニ近、家賃は五万円以内で探していたのですが、幸い素敵な物件が見つかり、少し古いけれど、何となく惹かれる所があったので、私はこの裏野ハイツに入居する事に決めました。
最初は心細かったですが、それよりも仕事が忙しかったのと、同じハイツの人達も皆さん良くして下さり、今はもう寂しくありません。そうして新生活にも徐々に慣れて来たある日、仕事から帰ると玄関のポストに知らないスマートフォンが入っていました。
傷だらけでしたが、ボタンを押すと電源が入ったので、よくない事だと思いながらも中身を覗いて見ました。
パスワードがかかっている訳でもなく、すんなりとホーム画面が出て来ましたが、そこにはボイスメモのアプリがぽつんと入っているばっかりで、開いて見た所、五つの音声ファイルが保存されていたので、私は順番に聞いて行く事にしました。
話数:全6話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
越してきた部屋に落ちていたスマホ。その中にはいくつかのボイスメモ。前の住人のものと思われる。きっと最初は暇潰しで録音していたのだろう。淡々とした日記のような語り口。語り手がハイツの人間と交流を広げていくごとに怪しく、ひたひたと何かが近づいてくる──「夏のホラー2016」において私が最も戦慄したホラー作品だ。背筋も凍るような納涼作品を求める方にはぜひ一読してほしい。きっとその夜はクーラーもいらなくなる。これはそんなホラーの粋を凝縮した逸作である。