評価:★★★★☆ 4.4
いじめられっ子少女を伝説の歌姫にしたのは、名もないアイドルオタだった……
聖地巡礼中の英国で日本のアイドルオタ「デブオタ」は偶然イジメの場面に遭遇する。その様子は日本で底辺と虐げられた自分の境遇と重なり、彼は思わず喧嘩を買って出た。
悪罵を罵倒で叩き返した彼は自分を音楽プロデューサーと偽り、いじめられていた少女エメルをトップスターにしてやる!と、いじめていた歌手志望の少女リアンゼルへ宣戦布告する。
理不尽な世の中に反抗するようにデブオタは怪しげなプロデュースへ全力を注いだ。そんな彼の哀しい想いを知ったエメルは修練を重ね成長する。そして次第に彼に惹かれていった。
一方、リアンゼルも憎悪を糧に己を磨き、二人は遂に歌姫の頂点を決める英国最大のオーディションのステージ上で対峙する。
だが、そこで思いもよらぬ出来事が彼等を待っていた。
汗と涙と挫折と、そして栄光と衝撃と別離と……歌姫への階段を駆け上がった少女がステージで最後に見たものは……「アイドルオタが歌手をプロデュース」という異色のシンデレラ物語です
話数:全10話
ジャンル:ラブコメ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
主人公の一人であるデブオタは最初こそ破天荒な振る舞いで度肝を抜いたが、物語が進む毎に心の弱さが徐々に明らかになり、逆にヒロインのエメルは最初は泣き虫だったのが物語が進む毎に気高く強く成長していく。そんな二人と関わっていく他の登場人物との思いが複雑に交差し、結末を迎える。小説とはかくあるべきだと思わせる作者様渾身の作品だ。私は彼等の行く末を追いたくて時間を忘れて読破してしまった。ランキングや評価ポイントに囚われずこの作品に出会えた読者等はさぞ幸運なことだろう。つまり私は幸福な読者の一人だ。
心優しい一人のオタク(デイブ)が気弱で自信を持てない少女(エメル)をアイドルプロデュースするという異色小説。勿論、デイブはただのアイドルオタクであり、プロデュース経験は現実世界では決してない。だが、ゲームの世界では幾度と無く普通の少女達をアイドルへと変貌させた男だった。そして彼の怪しげな特訓が始まり、エメルは心身共に成長し、着実に歌姫への道を駆け上がる。この物語最大の魅力は少女達がステージで歌う姿の描写力である。まるで魔法をかけられたかのように少女達の姿が目に浮かび、ミュージカルを見に来ているかのような錯覚を覚えてしまった。また、文字から滲み出る魂の込められた地の文やウィットに富んだ会話文は秀逸過ぎて、舌を巻いてしまう。この衝撃を是非、皆様にも知って貰いたい。本当にWEB小説界に眠る名作です。作家様、このような素晴らしい小説を書いてくれてありがとうございました。
WEB小説界でアイドルを語るなら外せない一作。シンプルな筋書きのシンデレラストーリーながら、キャラクター造形の魅力、ライバル構造の面白さ、英国の異国情緒、現実のアイドル界とのリンクの妙味、そして歌唱表現の巧みさと、非の打ち所のない珠玉の作劇は流石の一言。持たざる者が努力の末に民意を得て勝者となる――古今東西、物語の王道とされた黄金パターンを踏襲しつつ、醜い見た目のオタクがアイドル育成ゲームの知識で現実の歌姫を育て上げるという現代ガジェット満載の味付けがなされた本作は、まさしくこの2010年代WEB小説の文脈の中でしか生まれ得なかった「時代の寵児」的な作品といえるだろう。逃げず、媚びず、偽らず、夢と愛に突き進んだ少女と、一途にそれを支え続けた一人の男。そんな真実のアイドルの物語に出会わせてくれた本作に、私も心からの拍手を贈りたい。
他のレビューと同じようなこと書いて悪いけれど、これはみんなに読んで欲しい作品だと思います。 主人公たちのような周りからよく思われてなかったり、うまく生きられない人たち、 ヒロインをいじめていたライバルのような自分の才能に自信があって鼻にかけている、または現実の壁にぶつかって戸惑っていたり挫折した人たち、 そして、なんとなくで生きてきた人たち──── きっとこの作品は頑張っている人たち頑張っていない人たちみんなに勇気をくれる作品だと思います。 是非ご一読ください。
弱者というのは、往々にして切り捨てられる物だ。競争だらけの今の社会において、私達は弱者を蹴落とし、或いは自分より強い者に蹴落とされながら生きている。そしてその事が、今の社会では「普通」とされている。確かに弱者を蹴落とし、己の目標の為に邁進すれば相応の見返りを得る事ができるだろう。でもそれでいいのか?と「普通」に対して疑問を抱いたデブオタは、弱者である少女エメルと共に「弱者に手を差し伸べながら、努力して目標に向かうべき」という優しさに満ちた信念の下で、歌姫を目指す。現実の世界では「弱者に手を差し伸べながら、努力して目標に向かうべき」という意見は、「普通」から逸脱した綺麗事だと唾棄されるかもしれない。でもこの小説は、綺麗事を実現する為に努力する事の尊さを私達に思い出させてくれる。「普通」に染まりきった現代に生きる私達の心を揺さぶる、素晴らしい小説です。是非読んでください。
私達は日々様々な常識と柵に囚われている。デブはキモい。オタもキモい。日陰者は一生日陰者でいるしかない。努力なんて早々報われるわけがない。だからこそ人々は何かの偶像に縋る、それは希望と言い換えてもいいかも知れない。だが現実は無情でそれらは儚い幻想に過ぎないことが、往々にしてある。そんな悲しい世界でいいのか?裏切られるのは裏切られる側が悪いのか?自分が駄目な人間だからってそこに蹲ってなくちゃいけないのか?そんな疑問を胸にしたデブオタと優しいながらも目立たずに日々を嘆いて生きる少女。彼らが真摯に、ひたむきに誰かのためを想い、愚直に、まっすぐに努力する。挫折もあれば成功もある。それは現実でも小説でも同じ。大事なことはそれを情熱と努力で一つひとつ乗り越えていくこと。そんな努力こそが貴方の、周りの世界を変える。屈折した現代社会に生きる私達にこそ映える、小説です。
今日、日本でも様々なアイドルを題材にした作品が産まれています。 この作品は日本のアイドル業界の問題点などを真っ向から挑みかかって、そしてイギリスを舞台に繰り広げられる歌姫となる為に努力を重ね続ける女の子とデブオタの物語―― アイドル物の基本を抑えつつもフィクション作品らしい型破りな展開、そしてストーリー構成。 最後は何て言うか素晴らしかった。 多くの傑作アイドル物にある「アイドルとは、歌姫とはなんなのか」と言う題材に対して答えを出しているようにこの作品も見事に答えを出しました。 評価は満点です。これ以上何も言うことはありません。 是非ごらんになってください。
才能なんて関係ない。立場だって関係ない。必要なのは他人を思いやって全力で努力をすることだ。決して簡単な事ではないし、途方もなく遠い道のりだろうけど、隣に自分を理解してくれて認めてくれる人がいれば頑張れる。私はそんな思いをこの作品から感じました。ただアイドルとして成功を目指すだけのストーリーではない。アイドルという夢を通じて、自分の大切なものを見つける物語。……なんかよう分かんなくなってきた。取り敢えずこれを読んで後悔はしない。私はここ最近でこんなにも胸が痛くなって、自然と涙が零れた作品はありませんでした。誰にだってシンデレラになれる。誰にだってガラスの靴を履く権利はある。そしてシンデレラは、自分を変えてくれた貴方のことを決して忘れない。感動をありがとう。──本当にありがとう。
秋◯康が引っかかるから無理だろーなそれはトイレから始まった醜いプロデューサーと声の小さな女の子の物語日陰者は一生日陰者なんですか?容姿が醜いと生きていてはいけませんか?お金が、コネがあるものが強いのですか?努力すれば叶う、近年では聞き飽きた薄っぺらい言葉ですが、このデブオタまで努力したものはいないんじゃないだろーか・・・リアルでアイドル育成したら逮捕されますた…なんて後は読んでからのお楽しみ
(オタクの怒り+少女の儚い思い+幼いプライド+信頼という名の献身)×勇気を出して踏み出した一歩4人分=人生を賭けた大爆走出会い、努力、躍進、衝撃の事実、そして別れ果たしてデブオタと歌姫はいったいどうなってしまうのか大爆走の果てに行きつく先はいったい何処なのか、それは読者たちが実際に読んでみて確かめてくれ。