評価:★★★★★ 4.5
『人よ、何故刀を振るう』
江戸時代、まだ怪異が現代より身近で鬼が跋扈していた頃のこと。
江戸より百三十里ほど離れた山間の集落“葛野”にはいつきひめと呼ばれる巫女がいた。
護衛役である甚太はいつきひめの為に刀を振るうが、何一つ守れず全てを失う。
巫女を、惚れた女を殺したのは大切な妹。
彼女は百七十年後、全てを滅ぼす鬼神となって再び現世に姿を現すという。
憎しみから鬼となった甚太は、何を斬るべきか定まらぬまま、遥か遠い未来を目指す。
鬼に成れど人の心は捨て切れず。
江戸、明治、大正、昭和、平成。
途方もない時間を旅する、人と鬼の間で揺れる鬼人の物語。※この作品はArcadia様にも投稿させていただいております
話数:全216話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
面白かった。この作品は一言で僕の感想を表すなら面白かっただと思う。僕は人生で物語を読んで初めて衝撃を受けた。僕が鬼人幻橙抄に出会ったのは書籍版だった。母から葛野編と江戸編を渡されて読んだ。学生の為に僕は登校しなくてはならない。受験生の僕が本の続きが読みたいから学校を休みたいなんて言えるわけが無い。そしてそうやって読むべき物でも無いと思った。僕は儘ならないと何度も出てきた台詞にこの作品の全てが出ていると思う。甚夜も鈴音も白夜も清正も奈津も善二もおふうも重蔵も鬼の親子も。全ての敵味方に背景があってそれぞれの立場で見れば悪は無い。そして社会的理念からすれば善ではなかった。この文字制限では書き尽くせないが僕も書籍化なんて声の掛かるレベルですらない書き手の1人だ。だから傲慢だろうけど僕は貴方に最大の賞賛をあなたの様な物語を書きたい。そうなりたい。気持ち悪いかもしれないが貴方は僕の理想です。
各時代それぞれにその時代らしい心温まる物語や悲しい物語があり、一本芯のとおった魅力あふれるかっこいい登場人物達がいます。多くはネタバレになってしまうので語れませんが200万文字という大作でありながら、最後まで計算されつくしたような構成は見事としかいいようがありませんでした。物語の終着にたどり着いた時の感動は各時代を乗り越えた人にしか味わえません。ただそこにたどり着くまでにはほんとうに、ほんとうに………Twitter等でも評価が高く話題になっている作品ではありますが、タイトルやジャンルから読むことを悩んでいる方もいると思います。自分もそうでしたが、読み始めるともっと早くに読めばよかったと後悔しました。今では書籍版の素敵な表紙を見ながらにやにや出来るほど鬼人幻燈抄が大好きになってしまいました。この作品をより多くの人と語り合える日がこればといいな思います。
とにかく、読んでみてくださいそうすればこの物語の魅力、作者の書き方のうまさ、登場人物の生き様などに気づきます。長い時を経て、なにを失うのか、なにを見つけるのか、その進み道にはなにがあるのか、それに気づかされる物語マジで明治編は泣かせにきてるとおもいます、めっちゃやばかったです読んでください、そうすればわかります神作でした、この作品に出会えたことに感謝を
書籍化が切っ掛けで読み始めたのですが…予想していた以上の『面白さ』にぶん殴られて、WEB版にまで来てしまいました。鬼と人。異種である彼らは、時に生死を懸けて戦い、時に酒を酌み交わす。長きを生きる鬼と、短命の人。江戸から平成に至るまで、多くの時代が描かれていますが…それはつまり、寿命などの問題から生じる別れも描かれているという事で。誰もが魅力的な分、別離はどうしようもなく切なくて苦しい。そうした痛みだけではなく、継がれていく事、残されるものもあり…繋いでくれた喜びや希望も同時に感じ、心がひどく揺さぶられました。まずは、私が一番引き込まれた、葛野編の余談までどうか辿り着いてほしい。きっと、その先を見たくなります。
レビューをみて作品を読む、読まないといる人もいるかもしれません。なら百聞は一読にしかずです。レビューの内容から判断せずに自分の目で確かめてみるのが1番ではないかと。レビューは下記のほうが上手く、沢山書かれているのでそちらを参考にしてください。どうしても上手い文体が見つかりません。語彙力少ない自分からいうと「まじエモい」です。ほんとにエモいです。不老不死(に近い…)を1番上手く描写できています。「~なのじゃ」という口癖で長く歳がたった少女は蓄えた知識等を言うだけで長々と過去話はしません。主人公は不老不死を手に入れ、主人公は様々な体験、経験を積みます。一体どんなものかは読んで、「不老不死」という実感、感覚を味わえるからオススメと一押しします。なんと書籍化致しました。刊行続けれるならなんとなんと約18巻にまでなるらしいです。
レビュータイトルにも書いてある通り、いい意味で裏切られて一瞬で惚れた作品です。内容に関しては本当に言いたくないんですよね。少しでも言ってしまえば何かが消えてしまいそうで…こんな感じに思ってしまうような作品なんです。なんか…言葉に出来ませんが胸の奥が暖かいです。鬼人幻燈抄を読んでから少し人に優しくなれたような気もします。復讐の為だけに生きようとしても、それでも他のものも大切で。不器用だけど必死にしがみついて…それが本当に愛おしい。この作品を愛してます。
内容は王道です。 異世界トリップや転生ではありませんが、主人公がどんどん強くなっていき、ついには最強になる。 そこは変わりません。 ただし。 ピンチになったときなにもかも都合良く救われるヒーロー物ではありません。 守りたいと願いながら、守れず。 かつて守ると誓った相手に抱いた確かな想いさえ、変わり。 復讐に身を焦がした鬼の物語です。 丹念に練られた伏線の回収が見事。 1話1話。張り巡らされた伏線は旋律となって読者を物語の中心へと誘います。どう繋がるのかと、ハラハラ、ドキドキして。 主人公が辿る長い道のりの先。 物語の最後までたどり着いたとき。 あの忘れ得ぬ日々。そのために今を生きる。 たとえその先に避けようの無い別れがあっても。 抱いた想いは抱きしめたまま歩いて行ける。 そんな気持ちにさせてくれる作品です。
「小説家になろうの復讐物」と聞いて想像するようなザマァ展開がある作品ではありません、女の子に囲まれてイチャイチャするようなハーレム作品ではありません、主人公が一方的に無双するような作品ではありません、最後に全てが大団円で終わるような、ハッピーエンドと言えるような作品ではありません、でも、一人の男の人生を賭けた戦いとして、生き様として素晴らしい物語です。出会いがあれば、別れがあり、楽しいときがあれば、苦しいときがある。そうやって積み重ね続けてきた日々はきっと、無駄なものではない。この小説はなろうでは異端かもしれませんが間違いなくトップクラスの作品であると、断言できます。是非ともこの作品を読んでみてください。いつの間にかあなたは怪異蔓延る江戸に、明治に、大正に、昭和に、そして平成へと誘われるでしょう。
その昔、魑魅魍魎が徘徊する江戸の世。ある青年は平穏な日常を願った。しかし、その願いが成就することはなく。みなわのひびは、はじけてきえた。惚れた女を喪い、妹と決別した青年は鬼へと堕ち、旅に出る。江戸から平成へ、長い長い旅へ。その長い旅の中で彼は何を想うのだろう――青年は何度も選択を間違え、時には力足らずに大切なものを零れ落としてしまう。だが、積み重ねた年月の間に出逢ったものたちは確かに青年の心を癒していたのだろう。これはきっとそんな優しい物語。この物語ほど心に染み渡った話は今まで自分の中に存在しなかった。そして、恐らくこれからもないだろう。良くも悪くもこのサイトではそうそう見かけない人情溢れるお話。良ければ読んでいって欲しい。きっと貴方も各所で心を揺さぶられるだろうから。
最後まで楽しく読ませていただきました。最初は主人公にはそれほど感情移入ができませんでした。しかし、自分の弱さを認めそれと向き合おうとする辺りからとても主人公が好きになりました。また登場人物の皆が皆個性的で、その人物描写もとてもすんなりと心に残るものでした。もちろん敵側のほうも。何よりも一番面白いと思ったのが物語構成です。始まりは現代を遡ること100年以上も昔、江戸時代。そしてそこから明治、大正、昭和と経て最後に平成へと、長き道のりを辿ります。ただいたずらに年を経て行くものではなく、その時代その時代が、それだけで物語として出来上がってもいます。多くの魅力的な人たちとの出会い、そして別れ。そのなかでの主人公の心の変化。最後の舞台、平成へと結ばれる人と人との繋がり。まさに縁、と言えるべきものをとても上手に物語にのせています。久しぶりに良い物語に出会えたこと、ありがとうございます。