評価:★★★★☆ 4.3
李家のお転婆姫と名高い稜花は、戦場を駆ける。
彼女の護衛に任じられたのは、無数の傷を持つ隻眼の剣士、楊炎だった。
明るく前向きな稜花と、心を閉ざし闇に生きる楊炎は、戦と向き合いながらお互いの心にも触れていく。そんな彼女らの前に現れるのは二人の豪傑。
“隣領領主”楊基は稜花との婚姻を迫り、“絶対強者”王威とは何度も命のやりとりをするのであった。これは戦乱の世にて後に“稜戦姫”と呼ばれる稜花の恋物語。
戦って戦って戦って。戦い続けて芽生える恋もある。
中華風恋愛戦記、ここに開幕。
話数:全84話
ジャンル:エピック・ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:じれじれ
展開:未登録
最初から最後まで魅力たっぷりです。戦場を駆ける李家の姫・稜花の恋物語です。戦を通して人間的に成長し、自分の望む未来を掴み取ろうと奮闘します。ヒロインの稜花をはじめとして、情に厚くまっすぐな李家の人達。稜花の護衛で、かなりの腕前を持つ男・楊炎。絶対強者の王威。底の見えない男・楊基。登場人物がそれぞれ異なる魅力を有していて、物語を動かしていきます。ドキドキハラハラする物語を高い文章力で書き上げた素晴らしい作品です。是非読んでみてください。最期にもう一度言わせてください。最初から最後まで魅力たっぷりです!
李稜花は美しく着飾ることよりも、剣を振るうことを好むおてんば姫。 仲の良い兄二人と親馬鹿な父と共に、血気盛んながら穏やかな日々を過ごしていた。しかし世には戦乱の影。 稜花も大きな渦に巻き込まれていく。 タイトル通り戦記物でも恋愛物でもある今作。 序盤では本当に戦一直線だった稜花は、大きな戦を経験し、自分だけではどうにもできないことに直面するうちに、人間としても女性としても成長する。 私はまだ子供もいない若輩者だが、ふとそれを感じた時に思わず「成長したなあ……」としんみりしてしまった。 それぐらい感情移入していたのだ。 魅力的で勇ましく、そして愛らしい戦姫。彼女と彼女に関わった猛者達の戦い。 完結済みのため、いよいよ夜の長くなるこの時期、是非ともおともに読んでみてはいかがだろうか。 戦う女の子も好きだけれど恋する女の子も好き。そんなオススメです。
やっと追い付いたので、こうして筆を執っている。 物語に、と言うよりも、彼女に追い付いたと言う気持ちが強い。 彼女とは本作の主人公。李稜花は、絵に描いたような御転婆姫だ。 だが、絵に描いただけの女性では無い。喜怒哀楽が血に通い、それを糧にして咲き誇る。ときに血を浴び、ときに流して、それでも彼女は明るく笑う。 明の花には笑顔が集うが、摘みたくなるのも人の業。 太古より花は周りと生きた。慕うものとは力を合わせ、奪うものなら出し抜いて、強く逞しく生きて来た。彼女は、どうか。 戦場を力強く描いたと思えば、心象を浮き彫りにする繊細な筆致。その対照に、文字を追う目は止まらない。 なのに、彼女は先を行くのだ。 だから、僕らは追わねばならない。 燃える世に芽生え、萌えるように咲いた、その花を見届ける為に。
歴史の上には、たくさんの女傑がいた。その中には剣を持った者もいる。自ら戦いに赴き、敵を倒していった女たち。ジャンヌ・ダルク、ブーティカ、巴御前。 この物語の主人公、稜花もその一人である。武に長け、勇ましく、声高々に進んで行く。 彼女はあまりに幼く、何も知らなかった。 戦いを経て揺れる覚悟。先を生きる者や狡猾な者の言葉、ときにまっすぐな言葉で揺れる想い。そして自分の中にある気持ちに揺れる瞳。 だとしても、彼女は生きる。自分の中にある想いが、現実にとの間に大きな齟齬やたくさんの矛盾を孕んでいたとしても。それでも想いは止められないと、走り出す彼女。 気づいてしまった。稜花から目を離せなくなっていることに。 私は彼女に恋をしてしまった。その先を見たいと思うほどに。 どうかみなさんが、彼女を共に見守る人になってほしいと、願います。