評価:★★★★☆ 4.3
小さなイリスは王宮のお茶会で、尺取虫を見つけた。周りの少女たちに見つかったら、きっと使用人に命じてつぶしてしまうだろう。その前に、こっそり逃がしてやらなければ。
尺取虫を救おうと奮闘するイリスに、手を差し伸べたのは一人の騎士だった。あらゆるいきものを愛する令嬢と、小さなレディがかわいくて仕方がない騎士の、能天気な日常とおてがみ。
話数:全25話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
虫が好きな女の子と『親友』の青年のお話です。女の子は小さくても、心意気は貴族のレディなんです。そして自然を、花や生き物を、心から愛しているんです。尺取虫の話を熱心にする小さな女の子に出会った時、青年は自分でも知らないうちに、この子の魅力に巻き込まれてしまったんでしょうね。歳の差がある二人の、心温まる手紙のやり取りが、訥々とした文章と共に読者の心に染み込んできます。ずっとこの女の子と時を共有したい。そんな気持ちになれる物語でした。皆さんもこの物語世界へ行ってみませんか?
これは、小さな女の子が成長をして、そして恋をしていく物語。主人公はちょっぴり風変わりで、どこか微笑ましい幼い女の子。タイトルのとおり手紙のやり取りを織り交ぜつつ、ゆっくりと成長していきます。そして恋が始まっていく後半。物語は淡々と流れていくのに、行間から伝わってくる仄かな想いが微笑ましくて微笑ましくて。そしてそれを穏やかな海のような優しい眼差しで見守る青年。一話読むごとにほんわかほっこり、時に身悶え。静かな、けれど雄弁な語り口が、この「小さなイリスの物語」の余韻を何倍にも引き立てていて。心温まる素晴らしい作品です。ぜひご一読を。