評価:★★★★☆ 4.1
わたくし、シルフ・ビーベル公爵令嬢は捨てられました。
親から、国から、婚約者から、親友から、捨てられました。
生まれたことが罪なのだと、悪役令嬢の末路は決まっていると、彼女は言いました。
ありもしない罪をかぶせられ、友人に嵌められ、婚約を破棄され、国外追放されました。よりにもよって「怪物が住まう国」と名高い、ダーゲンヘルムの怪物が住む、ダーゲンヘルム王国の森のはずれに。このままきっとダーゲンヘルムの怪物に食べられてしまうと思っていましたが微かな希望を込め、檻の前の地面に書いたのです。「捨て悪役令嬢です。噛まない、吠えない良い子です。拾ってください。」嵌められた文学令嬢が捨てられた土地にて司書となり物語を愛でるお話です。
【悪役令嬢】【本棚の塔】【怪物】の3ワードから生まれました
2016年10月8日完結しました!
番外編後日談の更新予定あります。大幅改稿中です。
ジャンル変更しました。
話数:全45話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
素晴らしい物語です。外国の~とタイトルを着けましたが、内容がそうなのではありません。純文学に近い書き方と言うのでしょうか。翻訳家さんが書いたのかな?と思ってしまうような素晴らしい言葉で書かれた物語でした。柔らかく、分かりやすいながらも、崩し過ぎず、程好い堅さの言葉が、水のように流れこむ。そんな書き方です。崩した言葉の作品には作品なりのいいところがありますが、この作品は物語として書き方が綺麗です。主人公が公爵令嬢であるからなのか、作者さまの感性がそうさせたのか…それはわかりませんが、とても素晴らしい物語になっています。美しくて、綺麗で、優しいのに、どこかほの暗い雰囲気を纏うその世界観は、まさに童話の世界です。誰もが幼い頃に読んだ、あの童話のように、裏返して見ると決して優しいだけの物語ではなく、ほの悲しいパステルカラーのような番外編も読みごたえがあります。
何も知らずに悪役令嬢にされてしまった主人公。彼女は怪物と名高き隣国の王に拾われました。そこから始まるラブストーリーにならないところがミソ。主人公、シルフは三度の飯より本が好き。陛下は、面白いことが大好き。(なお、残虐嗜好持ち)二人は出会うべくして出会ったし、バランスとしては良いのだろうけれど、普通の恋愛にはならないでしょう。そして、主人公を蹴落とした男爵令嬢もまた、不憫な存在。彼女が知っている筈の世界なら、彼女は正しい筈だった。けれどここが似て非なる世界だと、彼女は全てが終わってから知るのだから。悪役令嬢と、怪物と、悪役令嬢。でも、もしかしたら怪物は全員そうかもしれない。異質なものを怪物と言うならば、彼らは全員怪物ではないか、と。静かに進む物語。重い部分もありますが、是非ご一読を。