評価:★★★★☆ 4.3
黒山田一族の女は40歳の時点で独身であれば、魔女になる。
遙か昔からえんえんと引き継がれてきた掟だった。気付けば40の大台に乗ってしまった「わたし」。
その夜、故郷から変な小包が送られて来た。※この作品は、第8回アルファポリスドリーム小説大賞にて、大賞候補作最終選考に残していただきました。
※エブリスタ様に改稿したものを掲載しています。
話数:全30話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
スタンディングオベーションで拍手喝采。非常に高度な作品でした。この作品のおススメポイントは沢山ありまして、全て書き込むことは難しいのですが、まずはめちゃくちゃ饒舌な文体。それはもうキレッキレの文体と、コミカルで可愛らしいストーリーが上手く混ざって、スパイスの毒が隠しきれない隠し味になってはみ出していました。また振り切り過ぎた設定とキャラクターが痛快。まず書き手として、作者さまはこの作品の設定を、必ず選択肢の中から、可笑しい方を選択しています。それに輪を掛けて一人として中途半端なキャラクターがいません。特に主要人物は、必ず行き着くところまで行ってしまった人ばかりです。そして、この話は魔法使いの話なので、ヘンテコな魔法が物語をめちゃくちゃにします。嵐が過ぎ去るかように魔法が解けた時、何が変化しているか。きっと昨日までとは、ほんの少しだけ違う明日が待ってるよみたいな物語。
ちょっとひねた主人公のコミカルな一人称で語られる恋愛コメディファンタジックヒューマンドラマ!(属性盛り盛り!)主軸となるふたつの恋愛が交互に浮き沈みしつつ魔法の糸で徐々に絡み合っていく構成が良いです。書き手視点も入れつつ読みましたが、これ破綻させずに書くのめちゃくちゃ難しいと思う。最後うまくまとめて見事に完結させた手腕はさすがとしか言えない!登場人物は普遍的でありながら個性的。おおげさにデフォルメされた人物像を持つ彼らだけれど、バックグラウンドにはどこか心当たりがあって。だからこそみんなを応援したくなる。だって、報われないと悲しいんだもの。ウルトラハッピーエンドじゃなくても、ささやかな幸せで彩られた日常があれば良いじゃない。だって、それが現実。魔法の時間が終わっても、きっとできるよ。
泣く子も黙る鬼のお局、黒山田愛。40歳。独身。黒山田家には「40歳で独身であれば魔女になる」という言い伝えがあった。ケーキに40本の蝋燭を立て、一人部屋で火だるまにしつつ誕生日を祝う愛。蝋まみれケーキを決して余すところなく食べ尽くす律儀な愛!そんな愛に黒山田家から特売シールが貼られたままのオカマ言葉で喋る箒が届くのだが、これがまたとんでもなく親切で、世話焼きで(よけいなことをする!)魔女の箒のくせにコントロール不能(なのに憎めない〜)。彼女たち(いや、主に箒)が引き起こしたとんでもないドタバタが、いつの間にか人の奥底に隠れていたものを暴き、愛や、愛の周囲の人達が向き合えてこなかった課題を浮き彫りにし、対峙させていく……。笑えます。愛しくなります。大いに頷いてしまいます。心配になります。応援したくなります。祈りたくなります。そして誰かにオススメしたくなります。
必死で仕事を頑張って、裏では陰口を叩かれる。愛想のない顔と言われても、今更きゃぴきゃぴ笑って過ごすなんて柄じゃない。恋愛なんてやらなくたって、とりあえず生きていける。シンデレラになんかなれっこない。魔法なんて、あるわけないじゃん。本当にそうでしょうか。どうせ自分なんかとはじめから諦めてしまってはいないでしょうか。こちらの作品は、そんなやさぐれた女性が主人公。40歳になった彼女が直面するのは、ロマンティックとは言いがたいとんでもない魔法ばかり。けれどシュールな魔法に笑い転げながらふと気がつくのです。一生懸命さを忘れていた自分に。幸せになりたいという、素直な気持ちからすら目を背けていた自分に。魔法はいつでもあなたのそばにある。たなぼたシンデレラにはなれないかもしれないけれど、現実の自分を見つめ直してみれば、手に入る幸せがきっとあるはずです。
頑張ってきた自分へのご褒美に、有名店で誕生日用のホールケーキを購入する。これはやる人はいるだろう。だが、真顔で真剣に、蝋燭を祝う年齢分、そのまま口にしお願いする覚悟は君にあるか。「とりあえず5本程度で…」というそこの私。先ずは魔女見習いになるために、お局様は魔女になるを読んでみるというのは如何だろう。これを書いているアラフォーの私のように。
40歳の誕生日を迎えた黒山田愛。魔女になる。魔女には箒☆このしゃべる箒はおかまちゃん的な話し方で可愛い。箒は新米魔女愛ちゃんの代わりに魔法を使うのですが……。これが大変なことばかり!!タイトルにある通りの「まちがいシンデレラ」を作り上げてしまった!!もう、見てられない。イケメン沢崎君が不憫でならない。なんとかしてあげて!!もちろん?愛ちゃんにも大変なことも降りかかる。どうする愛ちゃん。このまま魔女になるのかならないのか!?この愛ちゃん視点の辛辣でユーモアある心の突っ込みが超面白い。読むなら吹き出しても良い場所でお読みください。※キラキラまで読んだレビューになります。
黒山田氏は、まもなく四十歳になる。黒山田家は、代々四十歳に独身であれば魔女になる。そして、彼女は四十歳になってしまった。家に届くホウキ。リリカルな説明書。火だるまになるケーキ。そう魔女としての彼女の生活が始まってしまう!どこまでも、淡々とした風を装ったドタバタコメディ。シリアスダークコメディとでも名付ければよいのか、じわじわと読者の腹筋を壊しに来ます。諸君。これは夜に読むべきではない。怪しい笑いを近所に振りまいてしまうからだ。諸君。これは心して読むべきだ。心臓にダイレクトに笑いを詰め込んでくる。そう、これこそ黒山田氏の新たな日常。不思議な笑いがあなたに襲いかかる。