一行目探偵 完結日:2017年2月14日 作者:てこ/ひかり 評価:★★★★☆ 4一行目で事件を解決してしまう名探偵・真田一行目。彼を慕う助手とともに、奇想天外で大胆不敵、荒唐無稽で難攻不落な怪事件に挑む。 ※本作品は他サイト様でも掲載しています。 話数:全37話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 一行目 連作短編 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
レビュアー「犯人は貴方ですね、作者さん」読者A「な、なんだって……」レビュアー「この『一行目で作品の魅力に取りつかれ、時間を忘れて読んでしまう事件』の被害者達は、みんなあなたの小説を読んでいるんです。まったくとんだ時間泥棒ですよ」読者B「そんな……まさか一行目で犯人を暴露するだなんて……!」読者C「なんて奇想天外な作者なんだ……!」レビュアー「ユーモアとミステリーを合わせることはとても難しい。それにも関わらず、この小説ではそれをやってのけている」読者D「なんて斬新奇抜な作品なんだ……!」レビュアー「しかしこれで事件は終わらないのです。この事件はこの小説を読むすべての人に訪れるのです」読者E「な、なんだって……」レビュアー「そして次の被害者はこのレビューを読んでいる『あなた』なのです」
「犯人は貴方ですね、作者さん」 探偵が開口一番そう告げると、指名された人物はノートPCを閉じて静かに振り返った。「まさかここまでたどり着くとはね……」 観念したように首を振る作者に向かい、探偵は皮肉な笑みを浮かべた。「簡単でしたよ。なにせ、一行目で事件を解決する設定を作り上げたのはあなた自身ですからね」 ついに作者の鼻を明かしてやったと、探偵は得意気である。そこに、マフィア顔の警部がやってきた。ここから先は警察の仕事だという風に探偵は背を向ける。 その背に向かって作者は「待て。私が捕まってしまうとストーリーが終わってしまう。つまり、君の借金を返」 探偵が全てを聞き終わる前に背後でドアが閉まる。犯人の戯言には興味が無いのだ。「いいんですか? 何か重要な事を言っていたような」 子犬のように駆け寄ってきた助手が探偵に問う。 探偵は「これ以上はレビューの文字数が」
ミステリーというのは、そもそも『お決まりの型』に乗っ取ることが多いジャンルだ。 探偵は美少女か長身の男だし、男ならだらしない格好にボサボサ頭で無精髭。助手にはかわいらしい少年少女がいて……。 この作品のすごいところは、それらの型を上手く活かしたり時には殺したりして、質の高いコメディに昇華させているところだ。 そもそも一行目が事件の解決なんてところも可笑しいが、読んでみると一話ずつにネタが仕込まれている。 アッと驚いたりクスッと笑ったり、シリアスな展開に息を飲んだり、時には文字通り型破りなトリックに面食らったり……。 そうこうしているうちにいつの間にやら最新話。 文自体も洗練されており、緻密でありながら冗長に感じさせない工夫が凝らされている。それはレトロな本格ミステリーのようで、読んでて飽きも疲れも来ないのだ。 総じて完成度の高いミステリー風コメディ。是非お試しあれ。