日当たりのいい家 完結日:2017年2月11日 作者:古池ねじ 評価:★★★★☆ 4.2家族を失った作家の女性と、料理上手で穏やかな専業主夫の日常の話です。 書籍化します。 2018年4月13日に富士見L文庫から「木崎夫婦ものがたり 旦那さんのつくる毎日ご飯とお祝いのご馳走」として発売予定です。 よろしくお願いします。 話数:全36話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 お菓子 ごはん 三角関係 夫婦 日常 注意:R15 なろうで小説を読む
国民的作家だった父を亡くした若き女流作家の、どこか昭和レトロな雰囲気の日常。ぼんやりふわふわと過ぎてゆく、これといった事件も起こらない穏やかな日々の底にも、ずしんと重い喪失感や切実な孤独が潜んでいて、それでもやっぱり穏やかで温かく、料理上手の専業主夫・木崎さんの手料理の数々に彩られた丁寧な暮らしの手触りに癒やされます。そして、良い飯テロ。とても良い飯テロ。一章ごとに、いろんなものが食べたくなります。
国民的作家を父に持つ女流作家の島田ゆすらと、その夫木崎。それからゆすらの幼馴染で作家の成瀬崇。ゆすらと木崎の間にある、美味しいご飯が彩る穏やかな日常と、その中で表面にじわりと滲み出る、父の喪失に伴う不穏で不安定な気配。どの献立も食欲を誘って、自分でも作りたくなる温かみがあるのに、なのにいつの間にか其処に潜む危ういものに引き込まれて胸が切なさにきゅうきゅうと締め付けられます。「私の男の子」だった崇と、「私の男の人」である木崎。選ばなかったものと、選んだもの。胸が騒めいて苦しくなって、でも日々のご飯が醸す穏やかさに救われて。大切に手元に置いて、折に触れて読み返したい作品です。