評価:★★★★☆ 4.1
“ルリの花はどんな願いもたった一つだけ叶えてくれる”
不治の病の兄を持つ少女・リッカは、願いを叶える花の伝承を信じていた。兄のために花を摘みに出掛けた先で、偶然遭遇してしまった王族の気まぐれにより、奴隷にされたリッカ。黒い瞳のせいで忌み嫌われ、身も心も酷使された挙げ句、兄に再会する事なく、リッカは無残に殺される。
────これは、一人の少女の死から始まる復讐の連鎖。
歪んだ愛情と憎悪、思惑が錯綜する中、復讐が成し遂げられるまで。※ハッピーエンドではありません。
※視点変更していきます。無断転載厳禁! 作者:銘水
話数:全18話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
お互いに守りたいもの。その守りたいと思った事が全ての悲劇を呼ぶ。あるものは兄を守りたかった。あるものは自分を助けてくれた人を守りたかった。あるものは血統を守りたかった。あるものは虐げられたものを守りたかった…… それぞれの思惑は最悪の方向へと進む。愛を知らない傲慢……それは罪なのでしょうか? 愛の表現すらわからない無知がすべての悲劇を生み出してゆく。 この物語を読んでみて下さい。愛する表現を知らないものの悲劇。たった一言、愛してると言えば全てが治まっていた世界。あなたは正直に愛を語っていますでしょうか? この物語は愛情に対する認識が全てを狂わせていく様子が描かれています。すべて読んでみてください。あなたの心に何かしら響くものがあるはずです。
炎のような、この作品の登場人物の一人。そばにあるもの全てを燃やす彼は、誰にも好まれはしなかった。自分自身のような、熱く激しい憎悪を多くの人に向けられた。彼は、この世界に要らない存在だっただろうか?私は違うと思う。戦火が燃えるには燃料が必要だ。兵士となる人、武器を用意する財産、戦う理由。そういったものがある限り、燃え続ける。彼がいなくなったこの世界。多くの命や財産も燃えたが、長い時間をかけて積もった歪みもまた清算された。だから彼は、別の場所へと行くのだと思う。燃料のある場所へ、全てを燃やすために。話の主軸に関わることでは無いけれど、最後まで読んだなら私の言葉を思い出して欲しい。少しだけ、嫌われものの彼に対する見方が変わる、かもしれない。
これは、一人の少女が殺される物語。そして一人の少女が殺されることで始まる復讐の物語。悲しくても、辛くても、痛くても、寒くても。懸命に生きて、生きて、殺された少女。どうして彼女がこんな目にあわなくちゃいけなかったんだろう?どうしてあの人はこんな酷いことをしたんだろう?どうしてあの人はこんなことをしたんだろう?この時あの人はどうしてたんだろう?なぜ、どうして。こんな悲しいことが起こってしまったんだろう?――違う道は、なかったの?読み進めるたびに悲しさとやるせなさが心を打ち、読み進めるたびに真実と登場人物の気持ちに触れ、読み進めるたびに、切なくなる。一人一人が語っていく胸の内が、それぞれの運命の歯車を連鎖で回し、悲劇を紡ぎ、復讐を生む群像劇。最後まで読んで、真実を、復讐の行方を見届けて。きっとあなたの心に、涙(ラクリマ)が残る筈――。
兄を、故郷を守りたい。その願いを糧に、奴隷に堕とされ更には身も心も汚されても食いしばって生き耐えていたリッカ。しかし唯一の願いさえ消え、壊れてしまったリッカをさらなる悲劇が襲う。そして始まる復讐の連鎖。哀しい人達の行き場のない想いが、次々と悲しみを呼んでいく…。救いが欲しいと願わずにはいられない!作者様の巧みな物語に最後まで引き込まれ、涙無くしては読めません。悲しいお話が苦手な方も、是非読んで欲しい。読後の心に、何かが残るはずです。