評価:★★★☆☆ 2.5
死刑が廃止され、放射性廃棄物処理の労働所として、南海の離島に〈流刑地〉が設置された近未来の日本。旅行者として流刑地を訪れたマサフミは、大学で同窓だったトーゴと再会する。自衛隊の士官となっていた彼はここで「犯罪者をなくす機械」〈処刑機械〉の開発を続けているという。人権活動家のポール、良太と沙希の夫婦も加わり、流刑地見学ツアーははじまった。一方、受刑者の永田守は処刑機械を守るべく〈女神〉と行動をともにするが――第8回野性時代フロンティア文学賞、一次選考通過作。完結済み。
話数:全37話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
死刑が廃止された近未来の日本。放射性廃棄物処理の労働所として囚人が収容される流刑地を舞台に、マサフミは旅行客として訪れる。次々と与えられる謎は、読み手を退屈にさせません。読み手の見えないところで確実に何かが起こり、物語は着々と進行していく。それが悔しくて、どんどん読んでしまう。流刑地のシステムはしっかり考えられていて、本当に実現してしまいそう。また、死刑のない世界での犯罪者への罰則について読者は考えさせられます。しかし衣食住が約束された流刑地。与えられる高額な給与。もはや囚人にとっては流刑地はまさにユートピア。そんな世界の刑罰に、一体何の意味があるのでしょうか。旅行客たちが目撃した女神とは?マサフミの友人トーゴの陰謀とは?逃亡した守と処刑機械の関係は?ラストで物語の全貌が見えたあと、読者は正義と罰、そして幸福について考え、澄んだ気持ちで現実に帰って来れるそんなお話です。