評価:★★★★☆ 3.8
男爵令嬢コーネリアと侯爵サディアスは結婚した。二人はかつて主従で結ばれた身であり、身分違いであるが、国王から命令された結婚のため、反対する者は口をつぐんだ。国王が結婚を命じたのは、コーネリアにサディアスを監視させるため。かつてサディアスは国王に反旗を翻し、内乱を起こした過去がある。サディアスに忠誠を誓って敵を屠ってきたコーネリアならばサディアスの油断を誘えると、国王は考えたのだ。従わなければサディアスが死ぬと聞かされたコーネリアは、苦悩を秘めつつ、サディアスのために形ばかりの夫婦となろうとするのだが……。
話数:全24話
ジャンル:ダークファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
暗殺者として育てられたヒロインは、それ以外の生き方を知らない。咲き誇る白い薔薇に惹かれながらも、自分の流した血で穢れることが恐ろしくて、あこがれることしかできない。 この作品を支えるのは、無垢さと残酷さである。ヒロインも、相手役も、敵対する者たちも、どこまでもまっすぐで、ゆがんでいる。 はっきりいえば、粗はある。たとえば、幼王は最後までその無邪気さを貫いてほしかったと思うし、ふしぎな剣の存在は、この作品の良さを逆に削いでしまっていると思う。 しかし、作者が見せる、白い薔薇の上に飛び散る血は美しい。この作者が次に咲かせる世界を、見てみたいと思わせると思う。 明日咲く花の色は、誰にもわからないのだ。