評価:★★★★☆ 4.1
行くか、やめるか。
平日の夜、1LDKの一室。
暗い部屋で青年が一人、悩み続けていた。行くか、それともやめるか。
タイムリミットが迫ると焦る彼の葛藤は、やがて「行く」ことで決着を迎える。
しかし、そんな彼を嘲笑うかのように、物事は予想通りには運ばなかった。
でも……。
たまには、こんな夜があってもいい。※文学フリマ参加作品です。
話数:全5話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
完結日:2017年6月7日
作者:土成次朗
主人公に何かがあることを匂わせる始まり。視点は日常を追っているだけなのに、主人公の気まずさと焦燥感が伝わってきます。状況が明るみになった瞬間は、滑稽かもしれません。普通の人ならやらない。それを彼がやった意味を知った時、滑稽な話はいつの間にか切ない話に変わり。そんな彼を傍観していた人の心が動く瞬間が、何よりもこの作品の旨味だと私は思いました。
主人公の一人称で描かれる短編作品です。 タイトルや冒頭の展開から主人公は、世間様に理解されにくい奇異な性癖を抱えているかと思いきや、そんなことはありません。ノーマルな成人男性です。 成人男性というより”男の子”って感じのピュアな性格です。可愛らしいです。 恋愛小説ですが、主題は、恋愛やその他の人々の関わりを通して、主人公がどのようにして自己と向き合っていくか、にあると思います。 彼の一生の中での、ちょっと異質なエピソードを切り取って物語にした作品です。 文章が歯切れ良く纏まっていて、ついつい声に出して読みたくなってしまいます。
てっきりそんな話なのかと読んでみたら、少し大人の繊細な恋心がここにありました。特別なストッキング買いに深夜のコンビニへ赴く一人の男性のお話です。彼は、女装初心者。なぜ、こんなことになったのか。そしてこの男はどこへ向かうのか、ぜひ一読してみていただきたいと思います。読むのも10分かかるかどうか、くらいだと思うので、気軽にどうぞ。とても読みやすいのに雰囲気のある最良の物語だと思います。