評価:★★★★☆ 3.7
夏休み。
暇で暇で死にそうな竹内 小賦(たけうちおぶ)。戯言とはいえ、行けるものならあの世へ行って、神さま仏さまに会い、説教してやりたいと漏らす。そのあと甥っ子の賢人(けんと)といっしょに、河原でザニガリを捕まえては岸壁に叩きつけて遊んでいた。その夜、ふしぎなお告げの夢を見る。なんと千手観音菩薩から一枚のチラシを受け取るのだ。それは『裏野ドリームランド』への誘いだった。
明くる日、テーマパークの場所と思われる日南高等学校近くの山をめざし出かける。
すると、そこには廃園となって久しいテーマパークがあり、そこで謎の托鉢僧・祐遍和尚(ゆうへんおしょう)と出会う。祐遍に導かれるがまま、絶叫マシン『観音浄土クルーズ』に乗りこむ小賦。
祐遍いわく、『観音浄土クルーズ』は、仏教の教義における観音浄土へ、生きながらめざすヴァーチャル・リアリティーのアトラクションだといい、肉体的には安全だと請け合うが……。
それは恐るべき地獄への幕開けにすぎなかった。小賦は祐遍と『船』に乗りこんで出かける。この船旅は『補陀落渡海』そのものを再現したものだという。
補陀落渡海……それは、かつて日本仏教がおこなった捨て身の行、宗教的実践の極致だったのだ。
小賦ははたして、無事ゴールすることができるのか?
架空世界からもどるには、観音浄土へ行くとは名ばかりで、そのじつ自死するしかないのだ。
話数:全40話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
かつて僧侶たちは、常世の国をめざして旅立っていった。 実際にたどり着いたものがいるかどうかは、だれにもわからない。 主人公の少女・小賦が体験する『観音浄土クルーズ』は、仮想現実だと説明される。 しかし、彼女の精神、魂が体験したものは、彼女自身にとっては現実なのだ。 はたして、小賦は祐遍和尚とともに、観音浄土にたどり着くことができるのか。 その旅で、彼女の魂は、なにを見、体験するのか。