評価:★★★★☆ 4.4
私は、捨てられた小さな黒猫だ。ある日、一人の人間の男と出会った。どうやら愛想もない私を、彼は手放すつもりがないらしい。だから、私は彼と暮らす事にした。
――ふむ、「クロ」か。気に入った。私の事はそう呼ぶがいい。これは生に執着のなかった『私』が、初めて生にしがみつきたいと強く願うまでに人を愛した、人間の家族と過ごした十四回の四季を綴った物語である。/ああ、どうかもう少し、ああ最期に一目は、と――「私」は今になって、こんなにも生にしがみついている。
※修正し「エブリスタ」様にも掲載しております。
※2019/10/15 こちらも文章修正が完了致しました。
話数:全10話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
捨て猫の人を信用できないと語ったいたのに雨の日にその人を待ってしまう。生きていく上での強がりであり、人を、温もりを求めてしまう子猫の姿に胸を締め付けられました。男に拾われて大好きになった家族との長い幸せの日々、何気ない日常や特別な日にも常に家族を想い、寄り添い励ましてとっても温かい気持ちになれました。猫の視点だけれども、自分の家族の当たり前と思ってしまってた様々な事にありがとうと伝えたくなりました。こんな素敵な物語に出会えた事に感謝を。
誰しも、人生の中で何かしらの大切なものに出会うだろう。これは、限りなく美しいものを見つけ、その事を自覚し、死に至る最期まで大切にし続けた、賢い猫の話だ。私はまだ若く、社会に出たばかりの新参者だ。しかし、手離したくない、と思えるものは、いくらでも上げられる。ただ、それらが本当に私の大切なものかは、果たして分からない。そう感じることに虚しさを覚えることも多く、生きることに飽くことすらある。そう思う人は、案外多いのではないだろうか。そんな時は、この話を読んでみればいい。こんな時は、この猫のように、自分の心の赴くままに、生きていこう。そうすればきっと、何かしらの変化が人生に訪れるだろう。これは、そういう不思議な勇気が湧いて来るような、優しい話だ。