評価:★★★★☆ 4.2
異世界に飛ばされた日本の青年エイジ。
その世界は魔王の侵攻によって危機に瀕して、は、いなかった。
彼と同じく日本からやってきた勇者により、とうの昔に魔王は打ち倒されていたのである。
平和な世界。
しかし、そこはたしかな危機を迎えていた。
「現代日本の知識」を、不用意に勇者が広めたため。
本来、その世界、その時代では起こりえない問題が噴出していたのである。
「……つまり、私は勇者さまの尻ぬぐいをするというわけですか」
平凡な公務員だった男が、異世界の修繕に乗り出した。※完結しました!
※講談社レジェンドノベルス様より書籍化されます。
※2019年8月、2巻発売です。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
設定は面白く、内容も手堅いが、いかんせん地味で盛り上がりに欠ける 道民なのか北海道のニッチな地元ネタが散見され、その部分は人を選ぶ もっと過去の勇者による歪んだ影響がそこかしこに無いとタイトル負けする●良い所・主人公がノンチートの凡人故に中世レベルの文化圏で現代人が活動する事の現実を書いている・過去の勇者の現代知識チートによる影響が病として発生している設定は面白い・勇者の現代知識に頼らずに自ら発展していく事の必要性が語られている・テーマがハッキリしていて、かつそのテーマに沿った内容で完結まで纏めている●気になる所・全体的に地味で盛り上がり不足・主人公は他力本願の凡人だが相棒がチートなので結局チートとさほど変わらない・過去の勇者による現在の混乱がほぼひとつしか出てこないのでタイトルから考えると物足りない・内容がタイトル負けしている
基本的に異世界転生作品は主人公のチートで大体何とかしてしまう。現地の人達がモブになる。ということはよくありますが、この作品は違います。主人公にはチートはありません。魔法ありません。強いて言うなら曖昧な知識的な記憶くらい。基本的に世界を変えていくのは現地の人達です。重要な局面についてはもちろん主人公など転生者が関わりますが、産業面など変革に欠かせない部分はその世界の人々が変えていきます。異世界系の主流とは一味違うからこそ、変化球の作品を読みたい方にはぜひ読んで欲しい作品だと思います。
異世界を平和にした勇者の尻拭いをしろと言われ、なんの能力も持たないままに放り込まれた。だが、彼には相棒が待っていた。それも強く、美しい「竜の姫」(竜目線では絶世の美女だそうだ)そんな奇妙な二人が異世界で起こっている異変を何とかするべく行動する。「この世界の人々が自ら解決する」を信条とし、彼らが齎すモノは切っ掛けを作るだけに過ぎない。主人公の体力は人並み以下(異世界基準)で、魔法も使えず、ましてや戦闘など出来るわけも無い。が、最強の仲間たちが彼を補佐する。南野節 入門編。書籍化作品。「いやぁ、南野作品って本当にいいものですね(故・某映画評論家)」
この作品は、現代日本人の主人公が異世界にいき、その地の問題を解決するプロセスを描いた冒険・経済・村おこしもの。……と、簡単に言ってしまってはその面白さは十分の一も伝わらない。北海道漫才とでもいうのだろうか。独特で軽妙な掛け合いにクスクス笑いながら読み進めると、おびただしい数の伏線と布石がちりばめられており、アッと思った時には深い沼にはまりこんでいる。一度読んでただ楽しく、二度読んで唸り、三度目で味わうことができる、読みごたえ抜群の一作である。
転生者がチート知識でちぐはぐに発展させてしまったずっと後の時代、色々と問題を抱えている世界。主人公は交渉と妥協でそれが回復する手助けをして回ります。異色の観点を題材とした、一味違う異世界転生世直し旅物語。たくさん異世界転生物を読んだ方ほど頷くことが多いかもしれませんね。尖った発展だけでは、人の生活は支えられないのです。
なろう小説では王道であるチート転生をウイット感満載で切る良作だった。疾走感溢れ楽しくて読みやすい。善意は全ての人にとって良い事であるとは限らないという多面性、技術はそれのみで成ったのでは無く、歴史・文化・思想、そしてその時代を生きた人間によって成されたという謙虚さ、それらが在り来たりの「正義とはいずこに在りや」に収まらず、豊富な知見やSFをも絡めた知識に裏打ちされて、皮肉味溢れた厚みある作品を作り上げている。世知辛さやネタも含めて楽しい作品だった。
何の力もない主人公が、絶大な力を持って世界を救った勇者によって壊された世界を直していく物語。 凄まじい力をもって、単独で何もかも為していく他の作品と比べ、何と地味で何と弱々しくもしっかりと人を助けていくその姿が、まさに人間の美しさであると言うべきか。 綺麗な伏線、練られた展開、しっかりとした物語、そして上手い物語の締め方という、お手本のような作品です。 尤も、綺麗すぎてお手本過ぎて、ぐわっと引き込まれる迫力がないのですが、綺麗な外見をしていながら、じわっと身体の奥へと浸み込んでいき、じわじわと身体を浸食する……まるで水銀のような作品と言わざるを得ません。 褒めてないようで絶賛しています。 その綺麗な伏線が、まさにこの作品の最大の特長であり、一読の価値はあるとお勧め致します。。。
巷に溢れる異世界転生と同じ土俵に立ち、異世界転生と戦う本作。なぜ昨今、異世界転生譚が求められるのか。それはこの複雑怪奇な現実世界を手っ取り早く解決してくれるヒーローが求められているからだと、この作品は教えてくれている。異世界転生流行の背景を見抜かんとする深い考察が見てとれる。現実には世界を劇的に変えてくれるヒーローはいない。善良で誠実な人々が、堅実に変えていくことにこそ意義がある。この世の現実が抱えるモヤモヤとした違和感。その解法を見た。…と書くと人を選びそうな印象を与えてしまうがどっこい。活きの良いキャラクター、安定力のある展開、堂々の大団円。何も考えずに楽しめるエンターテイメント作品の側面もある。異世界転移、善良で誠実な小役人の一生。食わず嫌いせず、このスルメを噛んでみることをオススメする。
昨今の流行傾向では、異世界=現実の世界でむしゃくしゃしてる気持ちを晴らすための都合のいい場所ということにされてしまいましたが、本作はそうして蹂躙された異世界を建て直すことを目的としています。大変な皮肉が効いています。 違う世界と言うだけのことで、そこでは生きている人がいます。この世界と何も変わりません。ちょっと特殊なことができたり、見たことのないものや生き物がいたりしますが、この世界では存在しないというだけのことです。たまたま転生して好き勝手なことをして、都合が悪くなったら放り出すのでは、大いなる恥さらしです。 その恥ずべきことの後始末をする物語ですが、異世界の人々を尊重する姿勢を決して崩さないのが素晴らしいです。その世界は、そこの住人達のもの。滅びに向かっていた世界をどのようにして蘇らせるのか、原因を作った存在をどうやって倒すのかをぜひご覧ください。
舞台は勇者の活躍によって平和を迎えた世界。主人公は平凡な地方公務員。そんな彼の使命は、知識チートによって発生した異世界の問題を解決すること。相棒のドラゴンと共に、主人公は世直しの旅を始めます。この作品は、奥深い世界観と練り込まれた構成が特徴です。よくある異世界転移ものとはまた違った観点からの導入には新鮮味を感じることでしょう。さらに驚きや発見の連続で、物語に引き込まれること間違いなしです。もちろん読みやすさも抜群です。軽快な会話はコントのようにテンポがよく、読めば読むほどクセになります。個性的なキャラの魅力があってこその面白さです。所々に登場する小ネタにもご注目。クスリと笑えるものばかりで、読み進めるのがより一層楽しくなります。そんなちょっと変わった異世界転移ファンタジー。たくさんの人に読んでほしい、オススメの作品です。