評価:★★★★☆ 4.3
絶世の美女であり、凄腕の狩人でもあるオリガと、ツンデレ貴族で元パン屋のミハイルは、タイガ(針葉樹林)の森で出会い、互いの利益のために契約結婚をした。
ストーブと一体化したかまどでパンを焼き、狩猟で得た肉でスープを作る。
厳しくも美しい森の中で、夫婦のサバイバル新婚生活が今、始まる。
※本編完結済みです。
話数:全85話
ジャンル:料理モノ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
なろう恋愛モノ随一の「儚い」作品。厳しい冬の森で行われる狩猟や、パン作り、料理の様子は確かな知識に基づいて描かれている。それは生きるために必要な営みを一つ一つ丁寧に描写することでリアリティを持って私達の前に立ち現れ、どこか憧憬と郷愁を感じさせる。更にそうした日々の中で交わされる主人公達の何気ないやり取り―――。この、独り身の胸をじゅくじゅくと蝕むような気持ちは私の言葉では十分に伝えることはできそうにない。だから、オーリとミーシャ、尊い……それだけで良いじゃないか。きゅんきゅん儚いラブストーリーをみなさんも、是非。
宮部みゆき、有川浩などの中堅作家が書いたものと遜色ない安定感のある文章は安心して読む事が出来る。舞台のモデルはロシア東部にあたる場所かと思う。虎と評される鋭利な美しさを持つヒロインが、雪に埋もれた瀕死の主人公を拾う所から話が始まる。お互いの距離を探りながらの生活や、デリカシーの欠片もなかったヒロインから徐々に恥じらいが生まれ出す描写は『リア充爆発しろ』と身悶えるばかり。異性とこんな生活をしてみたいものですwこの作品に欠点を探すのは難しいが、敢えていうならアクションシーンやサスペンス演出のボリュームが足りない点と、色香の煽り不足くらいか?この辺を補強すると男性読者が増えるのでは無いかと思う。面白かった
ふとした事で夫婦として暮らす事になった美女と少年。しかしそこには浮ついた雰囲気は微塵も無く、極寒の環境の中で自然と寄り添い、支え合う。重厚な小説の体ですが内容は決して難しく無く読みやすい。そして特筆すべきはその文章。踏んだ雪の音が聞こえて来そうな、吹雪の音が聞こえて来そうな、洗練された見事な文章です。自然の描写だけではなく、食事を作る情景もまた。毎回読ませて頂く度に、台所に「何かなかったっけか・・」と見に行きたくなる様な。いわくありげな少年と美女の二人が、末永く幸せに暮らせる様にそっと見守りたくなる珠玉の小説です。