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 昔々のお話です。
 一パーセントの閃きを九十九パーセントの人類が手に入れてしまった狂った時代がありました。
 発明者が乱立し、発明品が溢れ返ったその時代、人々は時の流れと共に更新されて行く発明を受信し、また自身が作り出した発明を世に発信していました。
 受信と発信の速度は加速して行きました。毎年、毎月、毎日、毎時間、毎分、毎秒と。
 眼を開けば発明が目の前に現れます。耳を開けば発明が聞こえていきます。口を開けば発明が溢れ出していきます。
 そして、戦争が起きました。発明戦争が起きました。
 国を滅ぼす細菌が生まれたら、死者を蘇らせる妙薬が作られました。
 空を飛ぶ翼を作ったら、それを自動で撃ち落とす大砲が生まれました。
 体が液体に成るスーツが出来たら、周囲を瞬間的に凍らせる手袋が出来ました。
 毎秒毎秒人が死にました。
 毎秒毎秒人が蘇りました。
 毎秒毎秒人が異形に成りました。
 毎秒毎秒人が勇者に成りました。
 発明戦争はとても長い間続きました。何でこんな戦争が起きたのか誰もが忘れてしまうほどの長い時間が過ぎました。
 けれど、ある日、唐突に終わりが見えました。
 一パーセントの閃きが九十九パーセントの人類から消え去りました。
 狂った時代が終わりました。
 もう人類に発明品を作る事はできませんでした。
 もう人類に発明品を直す事はできませんでした。
 もう人類に発明品を理解する事はできませんでした。
 それでも戦争は続きました。
 持ち寄る発明が壊れるまで。
 持ち寄る体が壊れるまで。
 壊れて、壊れて、壊れて、壊れて、壊れ続けて。
 発明戦争は終わりました。


話数:全38話
ジャンル:

登場人物
主人公属性
職業・種族
  • 未登録

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意: