評価:★★★★☆ 4.1
日本を中心に事業を展開している複合企業《P・Co》。その末端に、《Peace×Peace》――略して《P×P》という、ファッション部門の事務所がある。
通常業務は、服飾商品の開発と販促営業。その裏で、変則的に本社から送られてくる“特務”を請け負っている。ある組織の人体実験によって“蛇人間”となってしまった潤は、《P×P》で副所長を務めていた。
所長は男女問わず複数人の“カノジョ”がいる、バイセクシャリストで。
長身細身の紫頭や、怪力女や、その怪力女に盲目的に恋をしているクールビューティー(?)な後輩女子や、怪力女と犬猿の仲の美形白髪頭や、その相方のモブ顔や――
そんな愉快な仲間たちの、少しダークで、時折くすりと笑える日常。
そんな日常に現れる、潤のクローン少年と少年愛好者の女。食べたり飲んだり笑ったり怒ったり喰べたりする、ちょっとハードな日常の一部分。
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作品の一部に、LGBT(性的少数者)、虐待、暴力、残酷な表現が含まれます。
苦手な方はご注意ください。
話数:全85話
ジャンル:異能バトル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
基本的には女性向きの作品となっている本作。キャラクターの耽美さや、カッコよさの組み立て方はただその設定だけで女性ファンを引き付けれるかもしれません。その耽美な彼らの物語ですが、これがどうして物語そのもの書込み方が上手です。読め読む程、男性も虜にしてしまうような素敵な設定のキャラクター達、そして彼らが織りなす舞台のような物語。これらを作者さんが操っているわけですが、読者をも操っているのかもしれません^^ 何故ならちょうどいいところで物語が区切られています! 読み疲れ、読み飽きをしない丁度いい分量ですねぇ^^
完結済みの作品です。プロローグを開くと飛び込んでくるのは美麗な少年の絵と、そして彼の語り。その始まりの1ページ目だけでこの世界に入り込んでしまうのは間違いありません。一体何があったのだろうとドキドキしながら読み進めると、多彩なキャラクター達がそれぞれが持つ背景を抱えつつ、その濃厚なストーリーを織りなしていきます。一人一人がしっかりと個性をもっていて、シリアスである筈な場面の、彼らの愉快な会話には思わず笑いがこみ上げるかもしれません。勿論その文章もストーリーやキャラクターに負けない力強さがあります。描写が細かく、心理情景も丁寧で流れるように読みとれます。ストーリー展開の面白さも相まって、きっとページをめくる手は止まらないでしょう。シリアスでダーク、だけどコミカル。ローファンタジー好きにはたまらない、一読してしかるべき作品です!
まず特筆すべきはキャラクターの立て方の上手さだろう。 個々に書き割りのような薄っぺらさは感じさせず、生き生きと生命力に溢れた描き方がされている。 踊らされているのではなく、自分の足でしっかりと立っているキャラクターが世界観を紡ぎ出し、ストーリーを転がしていく。 この方は、自分の作品の魅せ方をとても良く知っていると思える。 そういう意味ではプロ並みだと言っては失礼かもしれないが? それでいて、色も強い。 数多い男性キャラクターは全体的に中性的で、刺さる方には間違いなく刺さるであろう。 未だ連載中であれど、完結までを予告されているほどきちんと構成されている魅力的な作品。 一読して絶対に損はしない筈である。
46話(四話の11)まで読みました~♪余計な先入観を持たず、真っ更な心持ちで読み始めたところ……「ははぁ、これは美少年が苦悶にのたうち回る、耽美を愛好する話ですね? 血塗れの男に濡れる美学」とマイ読書センサーが判断しました。ソリッドでクールな文体と、垢抜けた台詞センス。ええ、間違いありませんよ、そういう話です。……と思ってたんですが。確信してたんですが。お話も佳境に入ってきた“ある時”、「ええええええええ! そう来るの?」という雷に打たれたような衝撃が。お陰で、その話数から先に読み進められませんでした、数日ほど。いや、今にして思えば、チョロチョロと作中作外に「ヒント」が散りばめられていたんですが、ハードな文体に惑わされて、素直に受け取れていませんでしたw取り敢えず、これから読み始める方は、フラットな読書態度で臨みましょう。
それぞれのキャラに悲痛な過去等が存在するのに普段の生活ではそれを感じさせないほどの明るくコメディチックに織りなす会話しかし、仕事になれば一転、死に対する覚悟等普段とは反対側のシビアな面が垣間見えますキャラクターの魅力が素晴らしく、惹き込まれますキャラもいいですが、文章も素晴らしいですそれぞれの性格に基づいた個性豊かな情景描写に心理描写それを長すぎず、短すぎず丁寧に書かれている文章はとても美味しい…いえ、綺麗な文章話数は多いですが、一話一話が短いのでとても読みやすい作品!ローファンタジー作品ではおすすめの一冊です!
表向きはアパレルブランド、本当の顔は暗殺稼業。そんな裏組織に所属する青年達の生き様を描く、少々ダークで時々コミカルなローファンタジー群像劇。 この作品はまず、多彩なキャラクター達が魅力的なポイントです。クールで笑顔が少ない美形青年、方言が特徴的な面倒見の良い兄ちゃん、お菓子大好きで不器用な女性etc……。そんなキャラクター達はそれぞれ悲痛な過去だとか悲惨な境遇を抱えていて、それが物語にも深みを持たせています。素敵な挿絵もキャラクターの魅力を更に引き出しています。 なので、小説を選ぶ際に、登場キャラクターの種類などに重点を置く方に特にオススメします。 そして文章力が素晴らしいです。言葉選びが難し過ぎず簡単すぎず、説明が長すぎず短すぎず。 使い古された言葉ではありますが、読みやすいという言葉がしっくりくる作品です。