評価:★★★★★ 4.5
【「無欲の聖女」の題でヒーロー文庫さまより1~4巻発売】お金が何より大好きな守銭奴少年・レオは、ひょんなことから、訳ありの美少女・レーナと体が入れ替わってしまう。
なんでもレーナは、かつて冤罪で貴族社会を追われた侯爵令嬢の娘で、このままでは貴族の集う学院に召集されてしまうのだが、それが嫌で、魔術を使って逃亡を試みていたらしい。
報奨として提示された金貨につられたレオは、レーナの代わりに学院に行くことを決意する。
学院に顔だけ出してとんずらするつもりだったレオ。しかし、絶世の美貌と独特の価値観を持つレオを周囲は「高潔の少女」と勘違いし、侯爵夫妻や皇女、はては帝国第一皇子までもが興味を持ちはじめ――?
後に、「無欲の聖女」と呼ばれることになるレオノーラ・フォン・ハーケンベルグの物語。
※完結しました。現在は番外編を不定期連載中です。
話数:全150話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
勘違いコメディです。基本的には面白おかしく読める作品なのだと思うのですが。実際笑わせてもらいましたが。三話に一話は涙腺崩壊しました…あまりにも無欲の聖女がひたむきで(勘違いですが)、その様子に周囲の人々が心打ち震える様の描写が巧みで(勘違いですが)、ついつい感情移入して泣いてしまいます。そしてその後クスリと笑います。たまに爆笑します。僕にとってはそんな素敵な作品でした。
あらすじを読み、男の娘系かTS系かと思ってました。読みすすめるにつれ今まで読まなかったことを悔やみ、同時に素敵な作品に出会えた事を喜びました。とにかく主人公のレオがいい奴友人としては一緒にいて苦にならないタイプであり、子供たちの間では頼れる存在。孤児として表舞台には出られない。けども人望ある少年が入れ替わりにより血統と超絶美貌というチートを手に入れて、それに翻弄されつつも周囲に幸せを与えて行く物語でした。勘違いは勘違いでも、主人公に悪意はないし、人を貶めても銭を取るような“守銭奴”ではない。とても魅力的な主人公として描かれています。途中、作者様が闇堕ちされたのか、お下劣極まりない表現に◯玉が縮こまりそうになる場面もあります。特にハゲ、DT、不能の男性は心を抉られる可能性もありますので要注意でしょう。これらの条件に当てはまらない人には楽しく読めると思いますのでお勧めです。
ある偉大なコメディアンは言った。「笑いと悲しみと感動は紙一重だ」本作品は、勘違い、すれ違いからくるおかしみを描いたコメディーである。しかしその勘違いの向こう側には悲しみや感動といったしっかりとした物語がある。悲しみ、感動と笑い。大きなふり幅を持つ作品だ。これを極上のエンターテイメントと呼ばずして何をエンターテインメントと呼べば良いのだろう。本作品は、令嬢物、ファンタジー物と呼ばれるジャンルだ。そういうジャンルに毛嫌いはあるかもしれない。しかしジャンルによる毛嫌いだけでこの作品からもらえるひと時を逸するのはどうであろう?一つ騙されたと思って読んでいただきたい。極上の時間をあなたは過ごすことになるだろう。・・・ある偉大なコメディアンは言った。「なんてもっともらしいこと言うやつに騙されるな」
この作品は、読み返すたびに発見がありました。スミマセン! 当たり前ですよね。でも、そうとしか言いようがないので許してください。初読では、ホントにただゲラゲラ笑えて、安心して読めたわー!って感じでした。どんどん加速する勘違いや、先の読めない展開にのめり込み、時間を忘れました。二回目は、余裕ができたのでしょう。勘違いだけでなく、交錯する思いやりの心、ひたむきな姿勢に涙が出ました。とても滑らかな三人称の文体だからか、同時に幾人にも感情移入してしまいました。結果、困ったことに、同時に泣いて笑って大変なことになりました。――「泣けたっていわれて泣けた例がないよ?」仰る通りです。でも……ゴメンナサイ。そして三回目で、やっと一週目に感じていた「安心して読めた」理由が分かりました。作者様の「愛」です。本当にスミマセン!皆様そうですよね!!でも――安心して読めました。
守銭奴少年レオが絶世の美少女の身体に入れ替わり、勘違いで「無欲の聖女レオノーラ」として称えられるようになるお話です。 普通に目先の小銭を追って動いているレオ。 なぜか周りの「レオノーラの知人、友人」から見ると「つらい過去を持ちながら母の面影を追う悲劇の少女」とか「恋する乙女」とか「過去のトラウマにより自分には価値がないという考えになっていて、危険に飛び込む危なっかしい人」とかどんどん話がシリアスになっていきます。 レオ視点で見るとギャグ、知人視点で見るとシリアス、〇〇視点ならラブストーリー? どの視点で考えるかによって、同じ行動でも全然違う意味になってしまう物語です。 「つまり、一つの話で何回も楽しめるってことで、お買い得だぜ!見るのはタダだしな!」
「無欲の聖女」と呼ばれ、高貴な学院に通う少女の中身は、スラム育ちの守銭奴少年であった。常識や価値観の違いから盛大な勘違いが起こるのだが、各キャラクターの背景がしっかりしており、それはコイツならそう思うわなぁと、納得させられるのが凄い。読者視点だと笑ってしまうが、聖女の関係者(皇子とか)視点だと感動物になる不思議。二部の最後の方とかこんなん惚れてまうやろーまた、その勘違いが人を成長させ物事を良い方向に導くのが、この物語の痛快なところである。そうなるのは、主要な登場人物は根が良い奴ばかりで、主人公の(勘違いを含む)素直な称賛、期待が良い面を掘り出したからだと思う。読みおわったあと、現実世界で、自分も周りの人に素直な称賛や期待を、もっと言葉として伝えてみようかなと思わされた作品であった。作者様に感謝しています。愛しています。
最後まで読み終わりましたが、途中で何度も声を上げて笑いましたし、何度も声を上げて泣きました。この作品の見どころは・勘違いや超解釈超展開により、主人公を取り巻く状況がどんどんとんでもないことになっていくところ・主人公の認識と周囲の認識のとてつもなく大きな乖離・様々な悩みや想いを抱えている登場人物たちが、主人公の言動によっていかにして救われていくか・多くの人の琴線に触れる言動により、誰からも好かれる主人公の魅力的な人柄・主人公含む誰もが救われる優しい物語などが挙げられます。この作品に出会えて本当に良かったと心から思えた作品です。TS系は敬遠していましたが、入れ替わったことによる性的なあれこれは一切ありませんので、そういった内容が苦手な方も安心して読めると思います。書籍版の続刊は売上により検討中とのことですので、気に入った方はぜひ書籍版の購入もご検討ください。(切実)
守銭奴ではあるが根は素直で道徳観や倫理観はしっかりあるレオ(ノーラ)、想像力が豊か過ぎて妄想で無欲の聖女を創り上げてしまうアルベルトやビアンカ、カイ、グスタフ等々貴族関係者たち。本作が秀逸なのはレオの本性と彼(彼女)の行動に勝手な解釈をしてしまう彼らのギャップがあってこそ。終始金儲けのことを考えているレオ当人よりも周囲の人間のほうがよっぽど善に思える。行動に対する勘違いも面白いが、言葉の取り違えによる勘違いが特にいい(下ネタ回に顕著)。全く別の解釈なのに会話が成立してしまっている様はアンジャッシュのコントを観ているよう。と、主人公レオ本人と周囲の評価のギャップが面白いのだが、後半はヤケクソのように聖女伝説が加速していきご都合主義的な勘違いが目立つようになる。どうやって収拾をつけるのかと思えばウルトラC的な解決方法によって鮮やかに完結。最後まで唸らせてくれる作品でした。
とてつもなく面白く、尊いいけど可愛い作品でした。ただ、せめてハーケンベルグ夫人にひ孫を抱かせてあげたいととてつもなく思いました。レオノーラちゃんが可愛すぎる。特に一から麦の育て方を教えてあげるの所とか心にダイレクトアタックを受けました。読んでてからだから言われた側はそりゃもうあんな感じになってしまいますよね。真実を見抜くハーケンベルグの紫瞳とかすごい良かったのと、芸術作品とかが出る作品は大概永久に名を残す名作だと思っているので、きっとこの作品は100年後も残るだろうと思いました。
何か計算しつくされた、上質なコントを見ている様な気持ちになれる。 会話が進めば進む程に、拡大していくすれ違い。 誰か早くツッコミを入れて! と叫びたくなるほど面白い。 だけどここは異世界! ツッコミ役は不在です。さらに拡大していく、すれ違いと勘違い。 それは、もはや修復不可能な状態に。それを無視して、さらにストーリーを進めてしまう作者。 “マジで、誰も止めねぇ” と諦観した頃には、ストーリーが終盤です。 そのまま一気にラストまで、読み進めてしまいましょう。 間違っても、会社や授業中に読んではいけない。 大声で笑っても怒られない環境で、読む事をお勧めします。