評価:★★★★☆ 4.4
人魚姫に助けてもらったことに気付いた王子様は、人魚姫と結ばれることになりました。海の上での結婚式では、人魚も人間も魚たちも、ふたりを祝福しています。王子様と結婚するはずだった人間のお姫様もその中にいます。
でも、結婚式が終わってひとりきりになったお姫様は泣き出してしまいます。お姫様は王子様のことがまだ好きだったのです。そんなお姫様のところに、王子様の声をした何者かが現れます。それは、王子様の影だと名乗ったのですが――人魚姫がハッピーエンドだったら、というifにオスカー・ワイルドの童話「漁師とその魂」の要素を加えた作品です。
話数:全6話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
人魚姫がもしもハッピーエンドだったら……というifの物語。ここで語られるのは、海の底へと旅立った王子様から切り離されて、一人ぼっちになってしまった王子様の影と、やはり地上に一人残された、人間のお姫様の物語。あちこちに、同じアンデルセンの童話やら、オスカー・ワイルドの童話やらの切れ端が美しく散りばめられている。アンデルセンの童話の中に「絵のない絵本」という本があるけれど、このお話はもしかしたらそれのパロディでもあるのかもしれない。挿絵がないにも関わらず、読んだ人の心の中に、切なくなるほどに純粋で、涙ぐみたくなるほどに儚い情景が浮かんでくるからだ。さて、あなたの頭のなかに浮かんだ一枚は、いったいどんな映像だったろうか?