グレゴール・キング殺人事件

冒頭から『蝿』は本作内で、象徴的に扱われる。なぜなら主人公が『蝿』となって、母の亡骸の周りを飛んでいるのだから……。ただ、それは夢の中で、彼はれっきとした『人間』だ。父親に対して、醜くも純粋な漆黒に彩られた憎悪を抱く青年である。物語は彼が苦しみと葛藤を抱きながら、獄門を叩き続け、ついにはそれを開けようと行動を移していくというもの。その中で『悪魔憑き』としても有名な、蝿の王『ベルゼブブ』を彷彿とさせる悪魔と、彼は壮絶な駆け引きを繰り広げていく。それらのシーンの心理描写はまさに『圧巻』の一言。ただ一つだけ忠告しておきたい。本作に目を通す時は、軽い調子のJazzと少しばかりの酒とともにあることを推奨する。でなければ『蝿』に取り憑かれてしまっても文句は言えまい。それほどに心に闇が迫ってくる素晴らしいサスペンスだ。

∀・)どうも。イデッチです。こちらKan様の羽黒探偵とナツ様の美しすぎるメイ探偵が豪華客船で共演するという、それだけで超豪華な作品でございます。しかしボクが推したいのはそこではないのです。この作品の主人公、黒田倫助という男です。この男が憎き親父を殺害しようと企てることからこの物語が始まるのですが、彼には“普通の人にはないモノ”があるのです。さて、それって何でしょう？それが解けたとき、あなたはこの作品の底の深さを味わえます。たくさん色んなことが味わえる至高のミステリー作品をあなたの今すぐあなたの手に！

私の大好きなシリーズ探偵物の主人公である 羽黒祐介氏と、美しすぎる名探偵、メイさんがコラボした夢のような作品。豪華客船を舞台に、作者が一話づつ交代で書いているそうですが、違和感がまったくなし！！ぴったりと息の合った作品です。横暴で傲慢な父を恨み、殺人計画を実行しようとする主人公。だけど。当然ながら、計画通りにはいかないのです。だってそこに名探偵が２人も登場するのですから。丁寧な心理描写と、ヴィジョンが浮かぶような情景描写。ラストまで絶対に目が離せない！！