評価:★★★★★ 4.5
現代よりも遥かに進んだ時代の日本は力が物事を決める基準だった。無政府状態同然となった日本の国土は汚染され人間の生活圏が縮小した。それに伴い土地の確保や食料、水を奪うために財力、暴力、権力、あらゆる力を行使した。法すら機能しない今、弱者は虐げられるしかない。そんな混迷を極めた時代にたった一人で旅を続ける男がいた。
孤児として育ち、育ての親は奴隷商人であった。彼は物心が付いた頃には既に銃を持たされ過酷な労働を強いられていた。それが日常だったのだ。売られていく者の恐怖に染まる目も下手を打った者が見せしめに吊るされるのも。いつしか、それに疑問を持ち始めていた。人々が忘れ掛けている禁忌感や罪悪感を覚え始めたのだ。人が人を支配し虐殺する狂気の世界で異常なのは彼だった。
だから、彼は求めるために鳥籠から抜け出したのだ。狂っているのは自分なのか、世界なのか。正しい人としての在り方を求めて。今日も彼はあらゆる人に出会うために旅を続ける。
※もう一つ書く予定の長編の世界を短編としてまとめたものです。
※連載で投稿しましたが前後編で終わる予定です。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録