評価:★★★★☆ 4.2
私が彼女に抱いていた感情が何であったかは、思い出そうとしなくても、忘れ去ろうとしてさえ、分かったままである。
それが一般的にどうであるとか、そういうことばかり気にして、結局どうなったかといえば、見ての通りだ。
私たちはまるで違う存在だった。彼女は私にないものをたくさん持っていた。もし私たちの不思議な関係に原因があったとするなら、それなんだろう。そう感じるのだった。そう思うのだった。
空を舞う花束を見つめながら。
話数:全23話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
本作は、二人の少女の成長と恋模様を描いた百合作品である。本作のテーマは、百合であり、女の子同士の恋愛模様。そこに戸惑いを抱くのが主人公ではなく相手側であることもまた、本作の面白い要素だ。ある種王道路線を往くストーリーを、また違った目線から楽しむことができる。何よりも本作の魅力は、純文学を思わせるほど豊かに表現された地の文にあると思う。心理描写はとても丁寧で、主人公の心のありようを繊細に表現し、情景描写はその光景を思い浮かべるのにまるで苦にならないほど、多彩な言葉で描かれる。だからこそ、中心となる主人公の心情に感情移入しやすく、紡がれる尊くも切ない物語に没入でき、導かれる結末に抱く感情もまた大きい。どうしてそういう結末を迎えたのか。物語として描かれる部分とは別に、読み手に想像の余地を残す良作。是非、ご一読を。