評価:★★★★☆ 3.9
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どうやらここは前世でプレイしていたファンタジーな乙女ゲームの世界らしい。
"私"ことアルティリアはかませ犬のライバルキャラ、主人公にやったらめったら突っかかったあげくに手痛いしっぺ返しを食らうことになっている。魔法学院を追われるばかりか婚約解消、さらに実家の公爵家は取り潰し。そんな波乱万丈は勘弁して! というかあのゲームの主人公、心が鉄壁すぎて怖い! ゲーム知識を生かしての逆ハー? 攻略対象の男どもって現実に付き合うには面倒な連中ばっかりだからお断り!
というわけで本編には関わらないことにしました。学院には絶対進みません。海外に脱出します。新天地で魔法人形師として生きていければ最高です。え、魔眼の人形姫? 冥府魔道の女王? 真面目に頑張ってただけなのにラスボスにクラスチェンジしていました。なんで!? ちょっと待って誤解なんですやめて許して――。
話数:全70話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
乙女ゲームが既存の女性的な願望である恋愛、そしてその先の結婚という「安定した男性の庇護」の求めるものであるならば、本作はもっと現代的で自立した女性の願望を形にした作品であろう。 それは次のような要素である。 家の没落=父権の弱体化 恋愛の忌避=夫からの独立 経済力の確保=女性の自立 実力で逆ハーレム状態=社会的な成功 これらは「悪役令嬢転生」小説で「乙女ゲーム」という言葉に仮託された既存のジェンダーロールに対置するものであろう。 極めて現代的な自立した女性の願望のあり方といえるし、ことに本作においては前世の体験や悪役令嬢の物語の中ではっきりとそれが描かれていると感じる。 だからといって説教臭いフェミニズム思想を読まされる訳ではないので安心して欲しい。 願望は願望として、なろう作品らしく心地よく成功を追体験させてくれるエンターテイメントなのだから。
どんな作品でもジャンルというものが存在しますが、この作品は転生、ファンタジー、恋愛、戦闘、陰謀、コメディ、勘違いと要素が盛り沢山で分類が難しいです。最初に読んでいて余りにも多い要素に破綻せずに書けるのか疑問に思っていたのですがよい意味で裏切られました。驚くことにこんなにも沢山の要素を入れているにも関わらずバランスよく繋がりを持って話が紡がれているのです。破綻するかと思っていた沢山の種類の要素は同じ様に沢山の種類の笑い、ハラハラ、熱さ、ドキドキ、感動を味併せてくれました。之ほど色んな種類の楽しいと面白いを感じさせてくれる作品は中々無いと思います。伏線の張り方も大変上手く、予想する楽しみも味わうことができます。まだまだ話は序盤である為にあえて傑作ではなく良作と評価しましたが、遠くない先で傑作になると確信しております。まだ読んでない人は是非読んで貰いたい作品です。