評価:★★★★☆ 4.1
漆黒を貫く冷たい眼孔、闇を誘うかのように揺れる長く黒い髪。
唇に薄く引く紅は男の為では無く、死神に捧げる祝詞を唱える為だ。
彼女の名前は「QUCA」
死の匂いを黒い外套で包み、短めのスカートを覘かせる彼女を人々は『死神の娘』と恐れ畏怖した。
そんな彼女は幼い頃に両親と行った外国で孤児になり、某国の研究機関に拾われて暗殺者として育てられた。
任務先で研究機関を裏切り、監視チームを殲滅したのちに脱走する。
国際テロリストとして指名手配された彼女が何故か日本に現れた。
彼女を捕まえるべく奮闘するのは、家族を事故で失い天涯孤独となった中年の刑事。
暗殺者となった少女と家族を亡くした刑事。向かい合うのは二つの孤独。
そんな二人のお話です。*ノベルデイズ、ノベルアップでも掲載してます
話数:全41話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
いつもながら独自の世界観を醸し出す作家氏です。キャラクターが活き活きと描かれ、読んでいて飽きが来ないところも良いです。世界中の機関にテロリストとして指名手配された主人公。交通事故で家族を失った刑事。次々と起こる事件なの中で、二人は出会いって自分たちの苦悩を共有しあう。お互いに欠けている物に気づいた時に、それは孤独の中にしか答えがない事がわかってしまう分かり合えるはずなのに、それを求めない孤高の殺し屋は闘いを求めて独り彷徨っていく。彼女の強さに畏怖した者は彼女の虜になっていく。自分もそんなひとりです。ささやかな謎が累積していく日常中で語られていきます。全てが明らかにされる時、彼女のやさしさに触れることになります。いぶし銀のような渋さを秘めた作品でした。どうぞ、お楽しみください
登場人物は主流から外された中年刑事と最凶の殺し屋と言われるヒロインすぐには判らないささやかな謎が、累積してゆく中で登場人物たちの日常が語られていきます。そこには、登場人物たちの様々な苦悩が少しずつ書き出される。決して交わる事の無いはずの無い二人が、お互いを孤独を知った時に物語りが動き出してゆく。ヒロインの最強さも痛快で、自分に牙を向ける者は容赦なく殲滅していきます。しかし、ふとした時に見せる切なげな面や可愛らしい仕草も魅力です。そんな孤高を貫く殺し屋クーカの正体とは……。ぜひ、お読みになって確かめてください。